【10月15日 AFP】2001年の9.11米同時多発テロで倒壊した世界貿易センタービル(World Trade Center)のがれきから回収した鋼材を使った米海軍の艦船がこのほど完成し、13日に米ルイジアナ(Louisiana)州アボンデール(Avondale)の造船所からニューヨーク(New York)に向けて初航海に乗り出した。

「ニューヨーク(USS New York)」と名付けられた艦船は、全長208メートルで、船首には世界貿易センタービルのがれきから回収された7.5トンの鉄鋼が使用されている。兵士720人を収容可能で、ヘリポートも装備されている。海兵隊遠征部隊(Marine Expeditionary UnitMEU)の戦闘・支援要員の輸送・配備に使用されるという。

 同日、「ニューヨーク」は霧がたちこめるミシシッピ川(Mississippi River)に進水。ニューオーリンズ近郊のグレトナ(Gretna)市では、数百人の市民が土手から見守った。同市のロニー・ハリス(Ronnie Harris)市長はフォックス・ニュース(Fox News)に対し、「使用された鉄鋼は単なる鉄のかたまり以上の意味を持っている。全国民が結集して、あの船首部分を形成しているのだ」と話した。

 現在建造中の別の2隻の艦船(「アーリントン(Arlington)」と「サマセット(Somerset)」)も、9.11同時多発テロの犠牲者への追悼の意を込めて、現場の残がいを使用する予定だ。(c)AFP