【10月8日 AFP】台風16号「ケッツァーナ(Ketsana)」による洪水被害が大きかったフィリピンの首都マニラ(Manila)近郊で、博物館に収蔵されていたイメルダ・マルコス(Imelda Marcos)元大統領夫人の著名な靴コレクションの一部が、警備員の「救出」によって水難を逃れていた。

 イメルダ夫人が寄贈した靴コレクションを展示しているマリキナ靴博物館(Marikina Shoe Museum)は、マニラ首都圏東部のマリキナ(Marikina)市にある。同市は、9月26日にマニラ周辺を襲い、死者300人を出した台風16号では最も被害の大きかった地区のひとつだ。

 博物館も1階は洪水で浸水したが、警備員の男性がその前に上階に移動した約200足は被害に遭わずにすんだ。

 博物館のキューレーター、シルビア・デ・ラ・クルス(Sylvia de la Cruz)氏(73)はAFPの取材に対し「どうにか750足は上階に移動した」と述べた。そのうちイメルダ夫人のコレクションが何足かはまだ数え切れていないという。

 フィリピンの中心的な靴生産地にある同博物館は、イメルダ夫人のコレクションのほか、フィリピンの歴代大統領や上院議員、大使たちがはいた靴などを展示している。

 イメルダ夫人の靴コレクションは、夫の故フェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)元大統領の20年にわたる独裁政権下での贅を尽くした夫人の生活を象徴するものとして悪名高い。

「ピープル・パワー革命」として知られる1986年の無血革命で、マルコス大統領夫妻が米国に亡命した後、マラカニアン宮殿(Malacanang Palace、大統領府)で発見されたイメルダ夫人の靴は約3000足といわれる。(c)AFP