【9月11日 AFP】米ハーバード大学(Harvard University)などの調査チームが、グルジアの洞窟(どうくつ)から3万4000年前の世界最古の繊維を発見したと、10日の米科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。

 この亜麻繊維は洞くつの発掘中に複数発見されたもので、なかにはねじられたような形跡も見られる。先史時代の人類がこれらを糸にして衣服を作ったり、ロープを作ったりしたと考えられ、人類による使用が確認された繊維としては最も古いという。

 調査チームは、古代人にとって極めて重要な発明品だと説明する。「寒さをしのぐための衣服や布、家事のためのロープやバスケット、あるいは皮や包みなどをつなぎ合わせるための糸を作っていたのだろう。古代の狩猟民たちは、こうしたことで容易に移動できるようになり、生存の可能性が高まっていったのかもしれない」と、調査に参加したハーバード大のOfer Bar-Yosef教授(考古学)らは説明する。

 なお、亜麻は洞窟の付近に自生していたものと考えられるという。

 当時の衣服やモノは長い年月をかけて分解して目には見えない微細な繊維になっており、洞窟のさまざまな層の粘土を顕微鏡で分析している際に偶然発見された。染色されたものもあったという。年代は放射性炭素年代測定で割り出した。

 これまでで最古の繊維は、チェコのドルニ・ヴィエストニッツェ遺跡(Dolni Vestonice)で発掘された粘土製の物体の表面に付着していた繊維で、2万8000年前のものとされてきた。(c)AFP