【9月10日 AFP】米軍を脱走した同性愛者の女性兵士が、同僚らから嫌がらせや殺害の脅しを受けたとしてカナダ当局に難民認定を求めている。カナダのメディアが9日報じた。

 この兵士は、米ケンタッキー(Kentucky)州フォートキャンベル(Fort Campbell)陸軍基地に配属されていたベタニー・スミス(Bethany Smith)上等兵(21)。ショッピングモールで女性と手をつないで歩いているところを別の兵士に目撃され、同性愛者であることを暴露されたと話しているという。

 メディアが報じたスミスさんの談話によると、スミスさんは毎日のように嫌がらせを受け、宿舎の部屋のドアには「殺してやる」など100以上の脅し文句が落書きされた。上官に除隊を申し入れたが、アフガニスタンへの派兵を考えていた上官は聞き入れず、このためカナダへ脱走したという。

 フォートキャンベル基地では1999年、同性愛者の兵士が殴り殺されるという事件が発生している。

 カナダの移民政策当局はスミスさんの難民申請を却下したが、スミスさんは8日、連邦裁判所に上訴した。

 イラク戦争が始まって以来、派兵を拒む推定200人の米兵が難民認定を求めカナダに在住しているが、承認されたケースは1件もない。なお、同性愛者の米兵がカナダに難民認定を求めるケースは今回が初めて。(c)AFP