【9月8日 AFP】南太平洋の島国サモアで7日早朝、車線方向を右側通行から左側通行に変更することを知らせるサイレンが鳴り響いた。1970年代以降、車線を変更した国はサモアが初めて。

 右側通行から左側通行への歴史的な転換を見ようと、路肩に集まった人びともいた。制限速度も落とされたが、変更してすぐの事故の報告は出ていない。

 6時前、18万人の国民に対し、車を路肩に停車させるための指示がラジオで流れると、ツイラエパ・サイレレ・マリエレガオイ(Tuilaepa Sailele Malielegaoi)首相が車を左側の車線へ移動させるよう指示した。

「この告知のあと、道路の反対側へ移動してください。歴史の新しい1ページを始めるのです」

「眠かったり、酔っぱらってたり、奥さんとけんかした人は運転は控えてください」

 救急隊が左側通行を知らせるサイレンを流すと、運転手たちはクラクションで応え、再び車が動き出すと路肩に集まった人びとからは歓声が沸き起こった。

 この変更に備えツイラエパ首相が、当日と翌日を休日と定めたため、道路を通行する商用車は少ない。変更から3日間は酒類の販売が禁止されている。

 左側通行のオーストラリアとニュージーランドには17万人のサモア人が暮らしている。ツイラエパ首相は、今回の変更で、この2か国に住むサモア人が中古車をサモア国内に送ることができるようになると主張。その結果、車は安く手に入り、農村部の人々も乗れるようになり、さらに国土を発展させることができるという。

 しかし、国民が仕事を再開させる9日になれば混乱が起こるのではないかという懸念は残っている。

 バスもそのほとんどが運行できなくなった。昇降口をまだ左側に変更しておらず、そのまま走れば乗客が道路の真ん中で乗り降りしなければならないからだ。(c)AFP