【9月2日 AFP】インド・デリー(Delhi)市当局は1日、2010年のコモンウェルス・ゲームズ(Commonwealth Games)開催を前に市内を整備する計画の一環として、「物ごい」を対象とした移動式法廷を開始した。

 市当局は、大会で訪れる外国人観光客が物ごいを不快に感じることを懸念し、警察の協力を得て、物ごいを裁判にかけるための法廷を4つ設置した。法廷はミニバス車内で開かれ、市一帯を巡回するという。

 同市では、物ごいが信号待ちをする車の窓を叩いて小銭を要求したり、観光客の集まる場所で近隣住民や観光客に小銭を求める姿が日常的な光景となっている。

 社会福祉局のP.C. Sharma副局長はAFPに対し、有罪判決を受けた物ごいは最長で3年間、更正施設に収容されることになると述べた。デリー市の物ごいの90%は地方出身者で、「訓練を施し更正させた上で地元に送還することが目的」だという。

 インドの非政府組織(NGO)「セーブ・チルドレン・キャンペーン(Save Children Campaign)」など、いくつかの団体は、貧困の根本問題を解決しないとして、物ごいに対する取り締まりを非難している。

 ニューデリー南部の地下道で物ごいをする51歳のLalu氏は、市内に数万人いる物ごいをすべて取り締まることは不可能だろうとの考えを述べ、「物ごいの数が多すぎる。わいろの金もないから取り締まらないはずだ」と語った。(c)AFP