【8月26日 AFP】中国の国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は26日、同国で行われている臓器移植手術で使用される臓器のうち、65%以上が死刑を執行された死刑囚から摘出されたものだと伝えた。この状況について、中国衛生省の黄潔夫(Huang Jiefu)次官は非常に不適切だと非難している。

 この報道で、これまで知られてこなかった中国の臓器移植産業における死刑囚の臓器の役割が明るみになった。同紙によると黄次官は、死刑を執行された死刑囚の遺体を「臓器摘出元とすることが適切でないことは明らかだ」と述べた。

 一方、中国が長らく依存してきた死刑囚の臓器利用を減らそうと、中国赤十字社(Red Cross Society)は25日、中国全土での臓器提供システムの構築に着手した。中国では、移植希望者リストの順番を無視して、裕福な希望者を優先するために臓器の不正売買がまん延しているという。赤十字社の新システムはこうした状況の撲滅を目指すとしている。

 中国では2007年、死刑囚の同意なしに死刑執行後に臓器が摘出されているとの批判を受け、臓器移植の規制が施行された。この規制のもとでは、臓器の不正売買の禁止だけでなく、高額を支払う外国人希望者による「臓器移植ツアー」も禁止されている。また死刑を執行された死刑囚は、親族にしか臓器を提供できないことを規定している。

 しかし、この規制も長らく続いてきた慣習を抑制することができなかったという。同紙は、今でも規制を無視して多額の利益を得る人々がいると伝えている。(c)AFP