【8月25日 AFP】ベルギー北部のアントワープ(Antwerp)近郊で前週、大量のレースバトの死骸(しがい)が見つかった。受賞歴のある優秀なレースバトを中国の犯罪組織が狙っているとの報道もあり、ハト飼育家らは戦々恐々の日々を送っている。

 前週、オランダとの国境に近いモル(Mol)の森の中で、アジア人風の男2人が複数のゴミ袋を捨てているのを、通行人が目撃した。森に捨てるなどけしからんと思い中をのぞいてみると、レースバト14羽の死骸が入っていた。この2人は後に中国人と判明した。

 死骸はすべて、身元を証明するリングが装着された片方の足が切り落とされていた。14羽は、同日にモル在住の著名飼育家の飼育舎から行方不明になったハトたちと見られる。

 ベルギー名物とも言われるレースバトには、中国の犯罪組織も興味を抱いていると、王立ベルギーハト愛好家連盟は指摘する。優秀なレースバトは、国境を越えて高額で取り引きされるという背景がある。

 そうした犯罪組織のやり口というのは、ハトをそのまま密輸するのではない。ハトを殺して身元証明用リングを抜き取り、これを中国で普通のハトに装着してレースバトとして高値で販売するのだという。

 なお、モルの森の中にレースバトの死骸を捨てた2人は22日、警察に出頭した。

 レースバトの盗難は今年に入ってすでに10件報告されている。同連盟は3万3000人の会員に対し、ハトに盗難保険をかけ飼育舎に監視カメラを設置するよう呼びかけている。(c)AFP