【8月1日 AFP】フィリピンのコラソン・アキノ(Corazon Aquino)元大統領が1日、マニラ(Manila)のマカティ・メディカルセンター(Makati Medical Centre)で死去した。76歳だった。

 息子のベニグノ・アキノ・ジュニア(Benigno Aquino Jr.)上院議員によると、元大統領は心肺停止状態となり、1日午前3時18分(日本時間同日午前4時18分)に亡くなった。元大統領は前年3月に大腸がんと診断され、全ての公職を退いて闘病生活を送っていた。

 アキノ家の広報担当者は先に元大統領が化学療法を含むすべての医療をあきらめ、自分の運命を神にゆだねることにしたと発表していた。また数日前に息子のベニグノ氏が元大統領のがんが肝臓にも転移したことを明らかにしたばかりだった。

 フィリピン政府は国葬を行うとともに国の服喪期間を設定する方針だと発表した。

■「ピープルパワー」でマルコス独裁政権を倒す

 野党指導者だった夫のベニグノ・アキノ(Benigno Aquino)氏が暗殺されると一躍注目を集めた。当時のフェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)大統領の独裁打倒を目指す「ピープルパワー」運動の中心的な存在になり、1986年に大統領に就任した。

 大統領就任後は新憲法を制定したほか、マルコス氏によって投獄されていた政治活動家を釈放し、共産主義勢力やイスラム教徒勢力との対話を開始した。

 大統領退任後も大腸がんと診断された前年3月まで、政府の汚職を糾弾するデモ行進などに積極的に参加していた。(c)AFP/Jason Gutierrez