【7月15日 AFP】巨大なコアラ像やパイナップル像など、観光客が楽しむくだらない作り物として長い間ないがしろにされてきたオーストラリアの「ビッグ・シングス(Big Things)」が今、文化遺産として登録され、民芸作品として注目を浴びている。

 ビッグ・シングスとは1960年代以降、自分たちの町を地図に載せようとした地方の町村が作り始めたけばけばしい彫像で、オーストラリア全土に150ほどある。

 Dadswells Bridgeの「ジャイアント・コアラ(Giant Koala)」、コフス・ハーバー(Coffs Harbour)にある全長13メートルの「ビッグ・バナナ(Big Banana)」、アダミナビー(Adaminaby)の巨大マス「ビッグ・トラウト(Big Trout)」、クイーンズランド(Queensland)州トゥリー(Tully)の巨大なゴム長靴「ビッグ・ガムブート(Big Gumboot)」などだ。

 そのほか、バス(Bass)近くで見つかった特大の無脊椎動物を記念した巨大虫「ジャイアント・ワーム(Giant Worm)」や、チャーチル(Churchill)の巨大葉巻「ビッグ・シガー(Big Cigar)」、ハンプティドゥ(Humpty Doo)のグローブをはめた巨大ワニ「ビッグ・ボクシング・クロコダイル(Big Boxing Crocodile)」などもある。

 これらのビッグ・シングスは、現在では多くのファンを獲得しており、エジプトのピラミッドと比較されるほどだという。

「私たちにとってのピラミッドであり、寺院である」と語る芸術家レグ・モンバッサ(Reg Mombassa)氏によれば、欧州からやってきた人々がオーストラリアに定住したのがごく最近のため、同国には歴史的な建造物がなく、ビッグ・シングスこそが自分たちの存在と居場所を示すものになっているという。

 ビッグ・シングスが最も注目を浴びたのは3月、クイーンズランド州政府が同州の文化遺産としてビッグ・パイナップル(Big Pineapple)を登録し、同州で指折りの歴史的建造物や文化遺産よりと同レベルのランク付けをしたときだった。

 クイーンズランド州文化遺産評議会(Queensland Heritage Council)によると、1971年の完成以来、この「パイナップル」を数百万人の観光客が訪れたという。(c)AFP/Neil Sands