【6月12日 AFP】マケドニアが首都スコピエ(Skopje)のマケドニア広場(Makedonija Square)に設置を予定しているアレキサンダー大王(Alexander the Great)像の建設計画が、ギリシャの怒りを買っている。

 ウマの背にまたがり右腕を掲げた高さ22メートルの大理石像の建設は、決して裕福とはいえないバルカン半島の小国、マケドニアが、1000万ドル(約9億8000万円)を超える予算をつぎ込んだ1大プロジェクトだ。
 
 同国の基礎自治体ツェンタル(Centar)のウラジーミル・トドロビッチ(Vladimir Todorovic)知事によると、建設作業は現在、最後の仕上げ段階にあるという。

 しかしアレキサンダー大王の生誕地、古代マケドニアの首都ペラ(Pella)は、現在のギリシャ内にあることから、マケドニアとギリシャの双方が、同大王は自国の英雄だと主張して譲らない事態となっている。

 トドロビッチ知事は、先に放送されたテレビインタビューのなかで、「アレキサンダー大王をめぐる話し合いは、ギリシャ側からは何の譲歩もないまま2年間もこう着状態にある。銅像の建設計画は、こうした状況の打開を目指したものだ」と語っている。

 自国内のマケドニア地方の正当性を主張するギリシャは、マケドニアという国名さえも、認知を拒否している。

 1991年のユーゴスラビア解体に伴いマケドニアが独立してから18年間におよぶ両国の確執は、国連(UN)の仲介努力も及ばず、ギリシャは前年、国名論争を理由にマケドニアの北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrganisationNATO)加盟を拒否。マケドニアの欧州連合(EU)加盟の行方にも暗雲が漂う。

 当然ながら、ギリシャは、マケドニア広場を囲む建物も圧倒する巨大なアレキサンダー大王の建設についても、マケドニア政府に激しい非難を浴びせている。(c)AFP/Jasmina Mironski