【6月6日 AFP】フランスの女性の権利を訴える活動家グループは5日、中東歴訪中に行った演説の中でイスラム教徒女性がスカーフを着用することを擁護したバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領を非難した。宗教をめぐる感情的な対立を緩和するため、同大統領がこの問題を利用したと主張している。

 オバマ大統領はエジプトのカイロ(Cairo)で行った演説の中で、フランスなど一部の国が、「自由主義の仮面の裏に宗教に対する敵意を隠している」として批判し、西側諸国はイスラム教徒の市民たちによる宗教の実践が適切であると思われる場合にはそれを妨げないようにすべきで、例えば、イスラム教徒の女性の服装について指図するようなことはすべきでないと述べていた。

 イスラム世界では一般的に、時として強制的に、イスラム教徒女性のスカーフ着用が義務づけられ、これを女性の従属や抑圧の象徴ととらえる見方もある。女性の権利の活動家グループは、このスカーフを女性の権利を侵害するものとみなしている。フランスでは少女や若い女性が公立学校でこのスカーフを着用することを禁止している。

 女性の権利活動家グループの1つ「Ni Putes Ni Soumises(娼婦でもなく従属物でもない)」は、「文明間の対話を宗教間の対話に矮小(わいしょう)化することは、再び女性を手段として利用することにほかならない」と指摘。「原理主義者の暴力から逃れようとして命を落とす女性も毎日後を絶たないなか、オバマ大統領が世俗主義を攻撃してイスラム教徒の女性のスカーフ着用を擁護したことで、権利を求めて戦っている数百万人の女性の必死の努力が踏みにじられてしまった」と述べている。(c)AFP