【5月25日 AFP】バイアグラ(Viagra)などの性的不全治療薬の開発につながった一酸化窒素ガスの研究でノーベル医学・生理学賞を受賞した米国の薬理学者ロバート・ファーチゴット(Robert Furchgott)氏が19日、米シアトル(Seattle)北西部で死去した。92歳だった。米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が24日、同氏の娘の話として報じた。

 ファーチゴット氏がルイス・イグナロ(Louis Ignarro)氏やフェリド・ムラド(Ferid Murad)氏と行った研究で、ヒトの循環器系では、タバコや車のエンジンから排出される大気汚染物質として知られる一酸化窒素が血圧や血液循環の調整で重要な役割を果たしていることが明らかになった。

 3氏は、ガスが人間の体内において重要な生化学的機能を果たしていることを初めて証明したとして、1998年にノーベル医学・生理学賞を受賞した。

 バイアグラは、性的不能治療薬として98年に米食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)に認可され、広く人気を集めている。これまでタブー視されていた性的不全の治療に大きな変化を与え、現在、世界中で約3500万人が使用している。

 ファーチゴット氏は1916年6月4日、サウスカロライナ(South Carolina)州チャールストン(Charleston)生まれ。ノースカロライナ大学(University of North Carolina)で化学の学位を得て卒業後、1940年にノースウエスタン大学(Northwestern University)で生化学の博士号を取得した。

 その後、数年間ニューヨーク州立大学(State University of New York)で働いたこともある。またフルタイムではないものの80歳代まで研究と学生の指導を続けていた。(c)AFP