アフガニスタン唯一のブタ、パニック恐れた動物園が隔離
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【5月7日 AFP】アフガニスタンのカブール動物園(Kabul Zoo)で飼育されている、同国に1頭しかいないブタが、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)を恐れる来場者がパニックになるのを防ぐために隔離された。園長が6日、AFPに明らかにした。
園長によると「大半の国民は新型インフルエンザに関する知識に乏しく、ブタを目にしたら、感染するのではないかとパニックに陥る可能性がある」ため、4日からこのブタを飼育舎とは別の小屋に一時的に隔離している。
園長は、ほかの動物園でも同様の措置をとっているのかを知るため、外国の複数の動物園に問い合わせのEメールを送ったという。
世界保健機関(World Health Organization、WHO)は、当初使用していた「豚インフルエンザ」の名称では、ブタとの接触や豚肉を食べることで感染するという誤解を与える可能性があることから、新型インフルエンザ「インフルエンザA(H1N1)」に変更している。
新型インフルエンザの感染者は6日までに世界で1490人に達し、メキシコでは29人が死亡している。しかし、アフガニスタンでは感染が確認された人はおらず、感染者が出た国々との直行便もない。
隔離されたブタは、旧支配勢力タリバン(Taliban)追放後の2002年、内戦で破壊された同動物園の再建支援のために中国から贈られた2頭のブタのうちの1頭。名前はなく、単に「ブタ」と呼ばれている。
もう1頭のブタと、2頭の間に生まれた子ブタは、いずれもクマに襲われて殺されてしまったという。たった1頭になってしまったブタだが、園長の話では、同じおりに入れられているヤギの1匹と仲良くなった様子で寂しくはなさそうだという。
厳格なイスラム教国であるアフガニスタンでは、豚肉を食べることは違法だ。養豚場はひとつもなく、野生のブタも見あたらない。輸入される豚肉製品は、タリバン掃討作戦に従事する外国人兵士らを含む数千人の外国人が消費するためのものだ。(c)AFP