【5月5日 AFP】イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相(72)は4日、公開書簡で離婚の意思を表明したベロニカ・ラリオ(Veronica Lario)夫人(52)について、離婚はほぼ避けられないとの見方を示す一方で、自らに対する発言の謝罪を求めるなど、一連の離婚騒動は昼ドラのような愛憎劇の様相を呈している。

 夫人の攻勢に対し、これまで沈黙を守っていたベルルスコーニ首相だが、4日の伊コリエ・デラ・セラ(Corriere della Sera)紙に掲載されたインタビューで反撃を開始した。

 ベルルスコーニ首相は、「ベロニカは公に謝罪すべきだ。わたしが17歳の小娘を追いかけまわしていたなどと言っていたが、そういう決めつけは断じて許されないことだ」と述べた上で、「わたしはその娘の父親と友人なのだ。それだけのことだ、誓ってもいい」と強調した。

 ベロニカ夫人の堪忍袋の緒が切れた最大の原因は、首相が自分の子どもたちの誕生日パーティーにさえ出ないのに、前週ナポリ(Naples)で取引先の娘の18歳の誕生日パーティーに出席し、金のネックレスをプレゼントしたことだとみられている。

 ベロニカ夫人は伊メディアに発表した公開書簡の中で、首相が率いる与党連合「自由国民(People of Freedom)」が6月の欧州議会(European Parliament)選挙に擁立した女性候補者について、女優や元ミス・イタリアなど「政治経験のない若くてかわいい女性」が含まれていると指摘している。

 ベルルスコーニ首相は、「彼女が選挙の真っ最中にそんなことを言い出すのは、これで3度目なんだ。もううんざりだ」と怒りをあらわにしながら語った。さらに、約19年間の結婚生活は今後も続けることができるかとの問いに、「そうは思わない。今は、妻と今後もやっていきたいのかどうか分からない」と語った。

 2人の離婚協議のめどは立っていないが、伊メディアは米経済誌「フォーブス(Forbes)」の試算として、ベルルスコーニ首相の家族が保有する資産は約65億ドル(約6400億円)に上ると報じている。同首相が築き上げた巨大企業グループ「フィニンベスト(Fininvest)」には、3つのテレビ局が含まれている。

 離婚騒動が表沙汰になるのはイタリアでは珍しいことだ。政治学者のマリオ・タルキ(Mario Tarchi)氏は、「離婚問題が公然と語られるのは前代未聞のことだ。以前は、首相などについて、離婚どころか妻や子どもがいるのかどうかさえ表にでることはなかった」と指摘する。

 タルキ氏の同僚のマルコ・ラザル(Marc Lazar)氏は、イタリアは保守的なカトリック教徒が多数を占めているものの、ベルルスコーニ首相が2度目の離婚をしてもあまり影響はないとの見方を示し、「首相の人気は別のところにあるし、選挙は始まれば人びとはすべて忘れてしまう」と語った。(c)AFP/Gina Doggett