「シンドラーのリスト」の実物の写し、図書館で発見 豪州
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【4月6日 AFP】(一部更新)第2次世界大戦中にドイツ人実業家のオスカー・シンドラー(Oskar Schindler)が、ナチスによる「ホロコースト(ユダヤ人の大量虐殺)」から救ったユダヤ人801人の氏名を記したリストの実物が、豪シドニー(Sydney)の図書館から偶然発見されたことが6日、明らかにされた。
「シンドラーのリスト」を発見したのは、シドニーにあるニューサウスウェールズ州立図書館(New South Wales State Library)の職員。アカデミー賞を受賞した映画『シンドラーのリスト(Schindler's List)』の原作『シンドラーズ・リスト(Schindler's Ark)』の作者であるオーストラリア人作家トーマス・キニーリー(Thomas Keneally)氏の原稿資料が入った箱を整理していた際に見つかった。
リストはタイプ打ちされた原本をカーボン複写したもので13ページ。紙質がもろい上に黄ばんでいた。同図書館の共同館長オーウェン・プライク(Olwen Pryke)氏によると、箱の中のひとつに研究ノートとドイツの新聞記事の切り抜きに挟まった状態で入っていた。最初はとりわけ重要なものには見えなかったが、プライク氏はすぐに大変なものに巡り合ったことを理解したという。
几帳面にタイプされたリストには、氏名や生年月日、ドイツでの職業などユダヤ人たちの詳細な情報が記されていた。「第2次大戦終戦間際の1945年4月18日に急いでタイプされたもので、この書類が801人のユダヤ人をガス室から救った。歴史上、信じられないほど感動的な書類で、図書館のコレクションから見つかるとは驚きだ」とプライク氏は語った。
図書館側も、このキニーリー氏の研究資料が詰まった箱6個を1996年に同図書館に売却した古書業者も、実物のシンドラーのリストが中に隠れているとはまったく知らなかった。
キニーリー氏は、決してまじめな男ではなかったオスカー・シンドラーが自分の良心を発見し、1000人を超えるユダヤ人を命を懸けて救うストーリーで英文学賞ブッカー賞(Booker Prize)を1982年に受賞した『シンドラーズ・リスト』の執筆にこれらの資料を使った。同小説は1993年に米ハリウッド映画界の大御所スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督が映画化し、シンドラーをリーアム・ニーソン(Liam Neeson)さんが、ユダヤ人収容所の所長であるナチス親衛隊(SS)隊員をレイフ・ファインズ(Ralph Fiennes)さんが演じた。
図書館のプライク氏によると、このシンドラーのリストの写しは1980年、このリストに「ユダヤ人従業員173番」として載っているユダヤ人のレオポルド・ベファーベルグ(Leopold Pfefferberg)さんがキニーリー氏にシンドラーを描いた小説の執筆を勧めた際に、進呈したものだという。 (c)AFP