【4月1日 AFP】「中国がオーストラリアのクリケットチームを買収した」「超音速旅客機コンコルドが6月に再び空を飛ぶ」「マダガスカルの暫定大統領がケニアでDJをやるそうだ」――エープリルフール(April Fool)の1日、世界中のメディアで偽情報が飛び交った。

 ケニアのデイリーメトロ(Daily Metro)紙は、3月に大統領を追放してマダガスカルの新指導者となった元DJのアンドレイ・ラジョエリナ(Andry Rajoelina)氏(34)を肴(さかな)にした。第1面にヘッドホンをつけたベビーフェースのラジョエリナ氏の顔をでかでかと掲載、その下に「『DJラジャ』が来週末、ケニアのリゾート地・マリンディで、トレードマークの『ラスタマナナ』をスピンする」の文字が躍った。

 英ガーディアン(Guardian)紙は、「当社はこのたび、188年間続けてきた紙媒体の発行を取りやめ、マイクロブログサービス『ツイッター(Twitter)』での発行に切り替えることにいたしました」と宣言。世界的な新聞業界の苦境をお笑いネタにした。

 ラトビアのインターネットポータルサイト「Delfi」には、「このたび、ラトビア紙幣への広告掲載が可能になりました」とのニュースが掲載され、経済危機にあえぐ国民の心を和ませた。

 ノルウェーのVaart Land紙は、「教会の蛇口が壊れていたために、赤ちゃんがスパークリングレモン風味のミネラルウォーターで洗礼を受けた」事件をまことしやかに取り上げ、「この赤ちゃんをもう一度洗礼させる方法」を論じた。

 ドイツのFFHラジオは、「忙しすぎ」て子どもがいないことで知られるアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相(54)が懐妊した、と報じた。これを信じたリスナーからは、首相を祝福する電話が数本かかってきたという。

 だが、せっかくの冗談も国境を超えて解されなかったものも多く、中には「二度と口に出せない」ものや、軽いジョークのつもりが市民の怒りを招いたものもあった。

 中国企業による鉱山買収に揺れるオーストラリアでは、ヘラルド・サン(Herald Sun)紙がウェブ版に「10万人収容のメルボルン・クリケット競技場(Melbourne Cricket Ground、MCG)の名称が、『メコン・クリケット競技場(Mekong Cricket Ground、MCG)』に変更された」という記事を掲載したところ、読者の苦情が殺到した。

 偽記事の広報担当者の名前は「エープリル・フルトン(エープリルフールのもじり)」となっており、大多数はジョークだと気づいたものの、同社ウェブサイトには1日正午までに200件あまりの書き込みが寄せられ、その大半が怒りに満ちたもの。「いっそ国ごとアジア人に譲り渡して、堪え忍ぼうではないか」という書き込みもあった。(c)AFP