【3月3日 AFP】フランスの高級レストランガイド「ミシュラン(Michelin)」の通算100号となる2009年フランス版で、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領行きつけの「ル・ブリストル(Le Bristol)」や、ロンドンの3つ星レストランを経営する英シェフ、ゴードン・ラムゼイ(Gordon Ramsay)氏が手がけた初のフランス料理店が新たに、レストランの格付けを表す星を獲得した。

 2009年フランス版で星の最高数である3つ星を新たに獲得したレストランはわずか1店、エリック・フレション(Eric Frechon)氏が伝統的なフランス料理の采配を振るうパリのホテル、ブリストルのメイン・ダイニング、「ル・ブリストル」だけが「最高級」の一角に加わった。

「ル・ブリストル」は仏大統領官邸エリゼ宮(Elysee Palace)の目と鼻の先にあり、サルコジ大統領が頻繁に訪れる。最近もホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)エジプト大統領やトニー・ブレア(Tony Blair)前英首相の訪仏の際に、ここで宴を囲んだ。

 ミシュランガイド総責任者のジャン・リュック・ナレ(Jean-Luc Naret)氏は、「ル・ブリストル」の3つ星入りに政治的力が働いたのではないかとの憶測を一蹴しているが、レストラン批評の一流ライター、フランソワ・シモン(Francois Simon)氏は、サルコジ氏によるひいきが一役買ったと指摘している。

 また、東京からアラブ首長国連邦のドバイ(Dubai)まで、世界に自らの食の帝国を築き上げている英国人シェフ、ゴードン・ラムゼイ氏がベルサイユ宮殿(Versailles Chateau)隣りに前年開店した新レストラン「ゴードン・ラムゼイ オー・トリアノン(Gordon Ramsay au Trianon)」が2つ星入りした点についてもシモン氏は懐疑的で、ラムゼイ氏やフレション氏はミシュランの評価システムを熟知しているが、高級フランス料理の過去の巨匠たちが持っていた「大胆さや創作力」に欠いている、と批判した。

 最高峰でレストラン批評を率いてきた覆面調査員約90人によるミシュランの審査団は、星数で表される同ガイドの厳格な格付けシステムにより、過去の巨匠シェフたちを模倣する世代が登場し、世界中で似たような美食の味を生み出している点は認めている。しかし、ミシュラン・ガイドは過去1世紀以上にわたり、食のガイドの頂点の座を譲ったことはない。

  仏タイヤメーカー大手ミシュラン(Michelin)が、自社製品販促の一環として、自動車ドライバー向けのフランス初のレストラン・ホテルガイド「レッド・ガイド(Red Guide)」を出版開始したのは1900年。1944年、ドイツ占領下にあったフランスのノルマンディー(Normandy)から上陸した連合軍向けに再発行された1939年版以外は、2度の世界大戦中には発刊が中止された。

 2日に第100号の発行を迎えたミシュランは現在23か国版に増え、全世界で毎年130万部を売り上げている。(c)AFP/Emma Charlton