【3月1日 AFP】イタリアの女性議員2人が28日、同国のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相が繰り返し女性の尊厳を傷つけているとして同首相を欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)に訴える意向であることを明らかにした。2日に正式に提訴するとしている。

 アンナパオラ・コンチャ(Anna Paola Concia)議員とドナタ・ゴッタルディ(Donata Gottardi)議員が女性差別的だとして問題視しているのは、ベルルスコーニ首相が24日、ローマ(Rome)訪問中のニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領に耳打ちしたとされる発言。

 イタリアのメディアは、フランスのキャナル・プラス(Canal Plus)テレビによる通訳を引用して、ベルルスコーニ首相は「あなたの女は、俺があなたに与えたんだ」と言ったと大きく伝えている。サルコジ大統領夫人でイタリア出身のカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)さんのことを指しているとみられている。

 コンチャ議員らはベルルスコーニ首相の発言が欧州人権条約(European Convention of Human RightsECHR)に違反していないか、裁判所の判断を求めるとしている。

「これはジョークで済まされない。ベルルスコーニ氏は公人なのだから、このような話し方はすべきではない」(コンチャ議員)

 ベルルスコーニ首相の事務所は28日、伊仏首脳会談の席上、ベルルスコーニ首相がサルコジ大統領夫人に言及した事実は全くないと反論した。実際の発言は「わたしも(パリの)ソルボンヌ(Sorbonne)で学んだんですよ」だったとしている。

 ベルルスコーニ首相はこれまでにも女性差別的な発言で物議を醸してきた。1月には「イタリアで婦女暴行を防止するには美女と同じ人数の兵士が必要だが、そんなことは不可能だ」と述べ問題になった。ベルルスコーニ首相は、自分が意図したのはイタリアの女性はそれほどまでに美しいということで、人間は常にユーモアのセンスと陽気さを失うべきではないと弁明していた。

 過去ミス・イタリアに出たこともあるイタリアのマーラ・カルファーニャ(Mara Carfagna)機会均等政策担当相は、イタリア政府は、過去に例がないほど多数の女性のための政策を実施していると述べ、ベルルスコーニ首相は女性差別的だとする批判を否定した。(c)AFP