サッチャー元英首相の娘、人種差別的発言で番組降板
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【2月8日 AFP】フランスのテニスのスター選手について人種差別的な表現を使用したことが報じられ、リポーターとして出演していた英国放送協会(BBC)の番組から降板することが先週明らかになったマーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)元英首相の娘キャロル・サッチャー(Carol Thatcher)氏の発言の詳細が7日、明らかになった。
サッチャー氏は、BBCのゴールデンタイムの番組「The One Show」に取材リポーターとして出演していた。同氏は同僚らとの話の中で、ジョーウィルフリード・ツォンガ(Jo-Wilfried Tsonga)選手について「カエルのように黒くグロテスクな男」と差別的な表現を用いたという。放送中ではなかったため、発言の具体的な内容は分かっていなかった。
7日の英サン(Sun)紙は同番組の出演者エイドリアン・チャイルズ(Adrian Chiles)氏の話を次のように伝えている。
「キャロルは全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2009)で誰が優勝するかをまくし立てていた。そして彼女は『カエルの可能性もあるわ。ほらあのカエルのように黒くてグロテスクな男よ』と口にした」
カエルを意味する「frog」は、英国人がフランス人に対する蔑称(べっしょう)としてしばしば用いる表現。黒くてグロテスクという意味の「golliwog」は、もとは黒人の人形のようなキャラクターで、英国製ジャムのラベルに使われたりしたが、現在では人種差別的だとして使われなくなっている。
チャイルズ氏はまた、サッチャー氏が「もし私がヘンリー王子(Prince Harry)なら、銃で撃たれているわね」と悪びれることもなく話したと付け加えている。ヘンリー王子は先月、陸軍の仲間を、パキスタン人やインド人に対する軽蔑的な言葉「パキ(Paki)」と呼んだことが明らかになり、痛烈な批判を浴びた。
英国では現在、「黒くてグロテスク」発言をきっかけに、英国人は人種差別主義者なのか否かをめぐり盛んな議論が続いている。
サッチャー氏の代理人アリ・ガン(Ali Gunn)氏は5日、BBCの処分について「侮辱的」だと抗議した上で、BBCはサッチャー元英首相に批判的な傾向があり、今回は娘のキャロル氏がその犠牲になったとほのめかした。
■人気自動車番組のプレゼンターも失言で謝罪
6日にはBBCの人気自動車番組「Top Gear」のプレゼンター、ジェレミー・クラークソン(Jeremy Clarkson)氏が、10代のころラグビー試合中の事故で片方の目の視力を失ったゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相を「スコットランドの一つ目のばか」と呼んで厳しい批判を受けた。クラークソン氏は7日に、BBCワールドワイド(BBC Worldwide)を通じて、発言について謝罪した。(c)AFP