【2月8日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が昨年の大統領選で使用したポスターを制作したアーティストと、ポスターのデザインに使われた写真を配信したAPAssociated Press)が著作権をめぐって対立、APは金銭の支払いを求める構えを見せている。

 問題となったデザインを制作したのはロサンゼルスの芸術家シェパード・フェアリー(Shepard Fairey)氏。HOPE(希望)という文字の上にオバマ氏を赤・白・青などの色彩で描いたもので、選挙期間中は象徴的なデザインとしてポスターなどに多用された。

 APの広報担当者ポール・コルフォード(Paul Colford)氏は、「ポスターの元になった写真の著作権はAPにあると判断した。写真の使用にはAPの同意が必要となる」との立場を示した。

 カメラマンのマニー・ガーシャ(Mannie Garcia)氏がこの写真を撮影したのはオバマ氏が上院議員だった2006年4月。彼自身が撮影した写真がデザインとなったことに初めて気が付いたのは、大統領就任式翌日となる先月21日のことだったという。

 ワシントンD.C.(Washington D.C.)を拠点にAFPAPと契約するガーシャ氏は、ニューヨーク(New York)で写真スタジオを経営する知人からある日電話とメールで指摘されたことがきっかけだったという。

 AFPの取材にガーシャ氏は、「選挙中(このポスターを)いつも目にしていた。そして見るたびに特別な感覚を覚えた」と話すが、「(ポスターが)私のものだと声を上げたかと言えば、答えはノーだ」と語った。

 ガーシャ氏は、自分が撮影した写真が大統領選で最も象徴的なポスターに用いられたことについて「とてもクール」と表現し、この写真を撮影したことと後に脚光を浴びることになったことに誇り感じると述べた。

 フェアリー氏は、いくつかの条件を満たした場合には著作権者の許可なく報道や教育などに著作物を利用できるという「フェアユース(公正利用)」という考え方を推進するスタンフォード大学(Stanford University)のフェアユース・プロジェクト(Fair Use Project)を代理として現在AP側と交渉を進めている。米国でフェアユースを活用することが最も多いのは報道機関となっている。(c)AFP