【2月6日 AFP】(一部更新)米玩具メーカー、マテル(Mattel)の人形「バービー(Barbie)」が誕生して、今年で50年を迎える。 50歳になっても髪の色は変わらず、胸元も不自然に若く、衣装も数え切れないほどあるが、バービーを取り巻いているのは明るい話題ばかりではないようだ。

 若い女の子の拒食症を助長しているとの批判が出ているだけでなく、2008年第4四半期の売り上げが前年同期比で21%も減少しているのだ。バービーは7年前から、ハイヒールを履いたクールなライバル「ブラッツ(Bratz)」との競争を余儀なくされている。

  1959年3月9日に米ウィスコンシン(Wisconsin)州ウィローズ(Willows)で生まれたバービーの本名は、バーバラ・ミリセント・ロバート(Barbara Millicent Robert)。身長29センチのバービーは、ニューヨーク(New York)の玩具見本市でデビュー、世界をアッといわせ、この年には30万体が売れた。

 すらりと伸びた長い足に、ピンクのグラマーな衣装、くしでとけるように作られた髪で、前世代の少女たちが遊んだ子どもっぽい人形とは一線を画した。

■ファッションデザイナーも注目する存在

 現在、バービーはマテルの中心的存在。多くのファッションデザイナーにインスピレーションを与え、フェイスブック(Facebook)やマイスペース(MySpace)でも存在感を示し、子どもたちの遊びに変化をもたらした。さらに、多くの大人たちに財布に手を伸ばさせた。

 今月行われるニューヨーク・ファッション・ウィーク(New York Fashion Week)では、50人のデザイナーたちが参加し、過去、現在、未来というテーマで、バービーの50歳を祝うショーが行われる。

 また、ヴェラ・ウォン(Vera Wang)がバービーをイメージしてデザインした1万5000ドル(約135万円)のウエディングドレスもある。手が届かないという人やバービー人形を持っているという人には、159.99ドル(約1万4000円)でミニチュア版が販売されている。

 ファッションなどを専門とする出版社アスリーヌ(Assouline)は、プラダ(Prada)、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、アレキサンダー・マックィーン(Alexander McQueen)の衣装を着たバービーの写真などを載せた本を500ドル(約4万5000円)で販売している。

■時代に合わせたファッション

 バービーが衣装に困ることはない。バービーのホームページによれば、108種の職業別衣装を含め、世界中で10億点以上もの衣装があるという。

 1960年代にはグレース・ケリー(Grace Kelly)のようなファッション、70年代にはヒッピールック、80年代にはキャリアウーマン風、そして1989年にはペンタゴン(Pentagon)公認の軍服まで登場した。

 ファッション以外にもバービーは注目を集めてきた。1992年には米大統領に立候補。2004年には清い交際を続けていた恋人のケン(Ken)と破局し、人形界を騒然とさせた。

■強敵登場に暴露本

 そんなバービーに起こった史上最大の異変は、7年前の宿敵「ブラッツ」の登場だろう。大きな瞳にワイルドなヘアスタイルのブラッツは、確実にバービーの売上を落ち込ませた。

 マテルは前年、元社員が、自社に籍をおいているうちにブラッツの製造元であるMGAエンターテインメント(MGA Entertainment)のためにブラッツをデザインしたことは著作権侵害にあたると訴え、勝訴した。その後マテルは製造と販売の差し止めを求めてMGAを提訴しこちらも勝訴したが、裁判所はMGAに執行停止を認めたため、ブラッツは今年中は店頭に並ぶ。

 さらに、今後は暴露本の発売も控えている。『Toy Monster: The Big, Bad World of Mattel』と題されたこの本は、バービーをデザインした電気技術者、故ジャック・ライアン(Jack Ryan)さんの奔放な性生活などバービーの闇の部分を明かす内容となっている。(c)AFP/Paola Messana