【1月30日 AFP】イタリアのローマ大学(Rome University)では、第2次大戦中のナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の伝承者を育てる目的で、ホロコースト専門の修士(MA)課程が設けられている。

 イタリア在住ユダヤ人による団体「Union of Jewish Communities」のレンゾ・ガテグナ(Renzo Gattegna)代表は、「じきにホロコーストの目撃者は誰もいなくなる。そのため、若い世代に過去の悲劇を伝える新しい手段が必要だ」と説明する。

 修士課程は1年制で、歴史・芸術・文学・心理学など複数の学術分野にまたがる学際的アプローチを取り入れている。

 3年前の開講以来、これまでに約50人が学位を取得。3期目の学生らへの学位授与式が26日に行われたばかりだ。ローマ市庁舎で行われた授与式の模様は、イタリア国内にテレビ放映された。その翌日の27日は、ポーランドにあるアウシュビッツ(Auschwitz)のユダヤ人強制収容所が解放されてから64周年にあたる。

「ホロコースト学」など、ユダヤ人大虐殺の歴史を学ぶ学位コースは米英の大学にもあるが、ローマ大の学位コースは、ホロコーストの教授法に重点を置いている点が特徴だ。

 第2次世界大戦中にアウシュビッツなどナチスの強制収容所に移送され死亡したイタリア在住ユダヤ人の数は8000人に上る。(c)AFP