【1月21日 AFP】20日のバラク・オバマ(Barak Obama)新大統領の就任に伴い、ミシェル(Michelle Obama)夫人が新しいファーストレディーとなった。黒人としては米国初だ。大統領夫人には決められた役職はないが、夫人なりの大きな影響力を発揮することが予想される。

 1789年に初代ワシントン大統領のマーサ(Martha Washington)夫人がファーストレディーになって以来、歴代の夫人たちはそれぞれの個性に合わせた役割を担い、歴史を作ってきた。

 マディソン大統領(在任:1809-1817)のドリー(Dolley Madison)夫人は、社交好きで流行の仕掛け人としても知られるが、1812年の米英戦争でワシントンD.C.(Washington D.C.)が焼け野原になった時、ワシントン大統領の肖像画が安全な場所に移されるまでホワイトハウスを去らなかったと言われる。

 リンカーン大統領(1861-1865)のメアリー(Mary Lincoln)夫人は、最も悲劇的なファーストレディーだろう。11歳の息子が病死し、夫は目の前で暗殺された。のちに精神を患い、困窮を極めたのち、1882年に精神病院で亡くなった。

 タフト大統領(1909-1913)のヘレン(Hellen Taft)夫人は、ファーストレディーとしては初めて、女性にも参政権をと訴えた。米国で女性参政権が認められたのは1920年になってからのことだ。彼女はまた、全員白人男性で固められていたホワイトハウスの警備部隊に黒人も採用した。

 ウィルソン大統領(1913-1921)が1919年に脳梗塞で半身不随になったとき、エディス(Edith Wilson)夫人は日常業務の多くを引継ぎ、国政を取り仕切ったと、回顧録に記されている。

 ルーズベルト大統領(1935-1945)のエレノア(Eleanor Roosevelt)夫人は、政権には口出ししなかったものの、全米そして世界を回って、公民権などを唱えた。

 ケネディ大統領(1961-1963)のジャクリーン(Jacqueline Kennedy)夫人は、その華やかさと美しさで、人々を魅了した。ミシェル夫人はそのファッションセンスから、「ジャクリーン夫人の再来」との呼び声が高い。ミシェル夫人は、ジャクリーン夫人に次ぐ若さでのホワイトハウス入りとなる。

 フォード大統領(1974-1977)のベティ(Betty Ford)夫人は、自らの経験を基に、アルコール依存症の治療施設の設立や乳がん早期発見の啓発に尽力した。女性の権利についても歯に衣着せぬ発言を繰り返した。

 クリントン大統領(1993-2001)のヒラリー(Hillary Clinton)夫人は、国政に積極的に参加し、医療制度の改革に乗り出した。また、ファーストレディーとしては初めて、2008年の大統領選に立候補し、オバマ大統領との熾烈な争いを繰り広げた。オバマ政権で、夫人は国務長官に指名されている。

 また、ブッシュ前大統領のローラ(Laura Bush)夫人は、図書館司書の資格を生かして子供たちに読み聞かせなどをする活動を行っていたが、のちには女性の心臓病の予防やアフガニスタンの女児の教育振興などの活動を精力的に行った。

 ミシェル夫人は、マリア(Malia Obama、10)、サーシャ(Sasha Obama、7)の2人の娘の世話を最優先させると明言しているが、プリンストン大学とハーバード大法科大学院卒でシカゴ大病院副院長の経歴も持つ夫人は、政治面でも積極的な役割を果たすことになるかもしれない。(c)AFP