【1月14日 AFP】景気低迷が深刻化する韓国のソウル(Seoul)で、職を失った物理学の博士号をもつ科学者(36)が、街路清掃作業員の求人に応募したものの、体力不足で採用されなかった。地元当局者が13日、明らかにした。

 この科学者、キム(Kim)さんは、ソウル市江西(Gangseo)区が募集した清掃作業員5人の求人に応募した63人のうちの1人。だが、この科学者に関していえば、知力よりも腕力が必要だった。

 応募者は、ごみ袋の積み上げを模擬体験するために20キロの砂袋2つを肩に担いで運んだり、砂袋1つを担いで25メートルを駆け足で往復したりしたという。

 江西区の採用担当者によると、キムさんは駆け足の記録が3秒遅かったという。落胆したキムさんは報道陣に対し「お粗末な結果だった」と語った。

 区職員によると、清掃作業員採用の競争倍率は去年の8倍に対し、今年は12.6倍だったという。清掃作業員の平均年収は3300万ウォン(約220万円)で、大企業の大卒新卒者の年収よりも高いほか、定年の60歳まで働ける安定した職業でもあるという。(c)AFP