【1月3日 AFP】オーストラリアの研究チームが2日、デング熱の感染を防ぎ、感染拡大を阻止する対策に向けた突破口を開いたと発表した。

 米ソフトウエア大手マイクロソフト(Microsoft)の創業者で資産家のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏に資金提供を受けた、オーストラリアのクインーズランド大学(University of Queensland)の研究者によると、デング熱を媒介する蚊の寿命は30日前後だが、バクテリアに感染させることで寿命を半減させることに成功し、その結果、蚊がヒトにデング熱ウイルスを感染させる能力を低下させるという。

 研究チームのスコット・オニール(Scott O'Neill)教授は、「高齢の蚊だけが、デング熱を媒介する能力を持っているという点がカギ。寿命を半減させることで、ウィルスを媒介可能になる前に蚊は死んでしまう」と語った。

 2日付けの米科学誌「サイエンス(Science)」に掲載された研究内容によると、実験では、デング熱を媒介する蚊の幼虫1万匹に、ミバエの体内に存在するバクテリアを注射し、このバクテリアが蚊を殺してしまうことなく、また、繁殖を止めさせることなく、昆虫の寿命だけを減少させ、さらに子孫へと受け継がれるかどうかを調べた。

 実験室での試験は成功を収めたため、自然での試験を数年後に行うという。

 研究者は、今回の研究が、毎年最大で1億人の感染者を出しているデング熱の感染拡大の防止に役立つことを期待しているという。(c)AFP