【12月31日 AFP】(写真追加)1912年に沈没した豪華客船タイタニック(Titanic)号の乗客が書いた手紙2通が1月16日に米ニューヨーク(New York)でオークションハウス、スピンク・スマイス(Spink Smythe)のネットオークションに出品される。

 この2通ともタイタニック号を所有していた英海運企業ホワイトスターライン(White Star Line)の便せんに書かれている。

 スピンク・スマイスのロバート・リッツェンバーガー(Robert Litzenberger)氏によれば、タイタニックの乗客が書いた手紙は極めて珍しく、落札価格はそれぞれ1万ドル(約90万円)から1万5000ドル(約135万円)になると予想されている。

 1通は、ビジネスマンのアドルフ・サールフェルド(Adolphe Saalfeld)氏が英サウサンプトン(Southampton)から出航前に妻に宛てて急いで書いた手紙。北大西洋の氷山に衝突し、1500人が命を落とすという悲しい運命をたどるタイタニック号の、処女航海出航直前の活気に満ちた様子が記されている。

「この素晴らしい船の中を1時間くらい歩き回ったよ。客室はとても気に入った。まるで寝室のようでかなり広い。船上で最初に手紙を書いたのはきっと僕だ。みんなまだ忙しそうにしているからね」

 サールフェルド氏は女性や子供を主に乗せていた第3救命艇に乗り、助かった。

 もう1通の手紙は、デパートの販売員ジョージ・グラハム(George Graham)氏が仕事上の関係者に宛てて書いたもの。グラハム氏はこの事故で命を落とした。

 乗船の直前に投函されたこの手紙でグラハム氏は、仕事が忙し過ぎてなかなか連絡が取れなかったことを謝罪している。「ご連絡が遅くなってしまいましたが、来年お目にかかることを楽しみにしております」と記されている。(c)AFP

参考:スピンクスマイスのサイト