結婚・出産というプレッシャー、社会の偏見に立ち向かう女性たち エジプト
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【12月23日 AFP】結婚・出産というプレッシャーに押しつぶされそうになっているエジプトの女性たちを救おうと、1人の若い女性が立ち上がった。
ヨムナ・モフタル(Yomna Mokhtar)さん(27)は、半年前、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェースブック(Facebook)上に「変革を求める未婚女性の会」というコミュニティーを立ち上げた。未婚女性への偏見を正し、父権社会における女性の苦しみを和らげることを目指した同コミュニティーには、これまでに550人以上がメンバー登録している。
ヘッドスカーフを巻いたモフタルさんは、「未婚者への世間の目は冷たく、心理的な負担は大きい」と語る。エジプトでは、キリスト教徒、イスラム教徒を問わず「結婚」は義務だ。未婚女性は「不完全」と見なされ、人々から「どこかおかしいのだろうか」といぶかしがられる。そうした娘を持つことを親族は究極の恥と感じるという。裕福な家庭の娘や大学に通う娘は多少の「猶予」は与えられるが、それでも30歳に近づくにつれかげ口は多くなる。
モフタルさんのコミュニティーにはメディアが興味を示し、既婚者や未婚男性もメンバーに加入している。こうしたことは、「女性は結婚して子どもを産むのが当たり前」とされてきたエジプト社会における、わずかながらの変化の兆しだとモフタルさんは言う。
■「今の状況は普通じゃない」
このコミュニティーのことをテレビで知ったというラバブ・イブラヒム(Rabab Ibrahim)さん(33)は、「結婚は幸福をもたらしてくれるという社会通念が、実際には不幸をもたらしている」と主張する。「結婚しても不幸な人はたくさんいる。良い夫に巡り会えないのであれば、一生独身を貫いた方がましよ」
「30年前の常識が今は通用しないってことを社会が認識していないことが問題だわ。女性は変わったし、メンタリティも変わったの」
25歳のある男性メンバーは、「今の状況は普通じゃない。誰かが声を上げなければ」と話す。「僕の友だちのほとんどは結婚して子どもがいる。彼らは、会うと必ずこう言うんだ。『早く結婚できるといいね』『誰か紹介してあげようか?』」
モフタルさんは、自身のコミュニティーは「シングルでいる権利」を声高に叫ぶようなものではなく、越えてはならない一線を越えるものでもないと強調する。「わたしたちは結婚に反対しているのでも、男性に抗議しているのでもない。健康でしっかりとした家庭を築きたいだけです」
未婚の薬剤師、ガーダ・アブデル・アル(Ghada Abdel Al)さん(29)が、社会からのプレッシャーをはねのけようと始めたユーモアたっぷりのブログは評判を呼び、先ごろ『わたしは結婚したい(I Want to be Married)』という本になって発売された。本の中で、彼女は次のように書いている。「おそらく、多くの若い女性たちが学業や仕事に野心を抱いているでしょう。しかしわたしは彼女たちに言いたいのです。あなたたちの最大の野心は、もう結婚はしたくないということなのではないですか、ということを」(c)AFP/Ines Bel Aiba
ヨムナ・モフタル(Yomna Mokhtar)さん(27)は、半年前、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェースブック(Facebook)上に「変革を求める未婚女性の会」というコミュニティーを立ち上げた。未婚女性への偏見を正し、父権社会における女性の苦しみを和らげることを目指した同コミュニティーには、これまでに550人以上がメンバー登録している。
ヘッドスカーフを巻いたモフタルさんは、「未婚者への世間の目は冷たく、心理的な負担は大きい」と語る。エジプトでは、キリスト教徒、イスラム教徒を問わず「結婚」は義務だ。未婚女性は「不完全」と見なされ、人々から「どこかおかしいのだろうか」といぶかしがられる。そうした娘を持つことを親族は究極の恥と感じるという。裕福な家庭の娘や大学に通う娘は多少の「猶予」は与えられるが、それでも30歳に近づくにつれかげ口は多くなる。
モフタルさんのコミュニティーにはメディアが興味を示し、既婚者や未婚男性もメンバーに加入している。こうしたことは、「女性は結婚して子どもを産むのが当たり前」とされてきたエジプト社会における、わずかながらの変化の兆しだとモフタルさんは言う。
■「今の状況は普通じゃない」
このコミュニティーのことをテレビで知ったというラバブ・イブラヒム(Rabab Ibrahim)さん(33)は、「結婚は幸福をもたらしてくれるという社会通念が、実際には不幸をもたらしている」と主張する。「結婚しても不幸な人はたくさんいる。良い夫に巡り会えないのであれば、一生独身を貫いた方がましよ」
「30年前の常識が今は通用しないってことを社会が認識していないことが問題だわ。女性は変わったし、メンタリティも変わったの」
25歳のある男性メンバーは、「今の状況は普通じゃない。誰かが声を上げなければ」と話す。「僕の友だちのほとんどは結婚して子どもがいる。彼らは、会うと必ずこう言うんだ。『早く結婚できるといいね』『誰か紹介してあげようか?』」
モフタルさんは、自身のコミュニティーは「シングルでいる権利」を声高に叫ぶようなものではなく、越えてはならない一線を越えるものでもないと強調する。「わたしたちは結婚に反対しているのでも、男性に抗議しているのでもない。健康でしっかりとした家庭を築きたいだけです」
未婚の薬剤師、ガーダ・アブデル・アル(Ghada Abdel Al)さん(29)が、社会からのプレッシャーをはねのけようと始めたユーモアたっぷりのブログは評判を呼び、先ごろ『わたしは結婚したい(I Want to be Married)』という本になって発売された。本の中で、彼女は次のように書いている。「おそらく、多くの若い女性たちが学業や仕事に野心を抱いているでしょう。しかしわたしは彼女たちに言いたいのです。あなたたちの最大の野心は、もう結婚はしたくないということなのではないですか、ということを」(c)AFP/Ines Bel Aiba