【12月22日 AFP】米国人の多くが思い浮かべるクリスマスの光景は、ショッピングモールでの買い物や、車で買いに行くクリスマスツリー。もしくは組み立て用ツリーを箱から出し、出来合いのオーナメントで飾り付けるといったものだろう。

 その一方で、近年になってクリスマスツリーは自分で切り出したもみの木、オーナメントも手作りといった「手作りクリスマス」が、米国人の支持を集めている。

 ワシントンD.C.(Washington D.C.)郊外のジャーマンタウン(Germantown)では、晴れ渡った冬空のもと、家族連れや若者グループが、最適なクリスマスリツリーを求めてモミやマツの森林を歩き回る姿がみられた。

 妻子や友人家族と共にツリーを探しにきたジム・アンダーソンさんがこの森林でツリーを切るのは、今年で3年目になるという。

 森林を所有するバトラー(Butler)一族がクリスマスリツリー用に気に入った木を自分の手で切り出すサービスを始めたのは1950年代のことだった。10年前に需要が急増したことから、さらに木を植えた。この時に植えた木々が、今はツリーとして十分な大きさに育った。

「自分らの手でクリスマスツリーを切ることは、いわば家族で楽しめる娯楽のようなもの」と、オーナーの1人、トッド・バトラー(Todd Butler)さんは話す。また、クリスマスツリーはスーパーマーケットの倉庫にあるものではなく、地に根ざした木だということを、子どもに見せたいと願う親も多いという。

 伐採体験の値段は、市場で同じサイズのツリーを買い求めるのとほぼ同価格で、高さ約1メートル20センチ程度のモミの木で51ドル(約4600円)といったところだ。しかし、自らの手でのこぎりを幹にあて、もみの木を地上に切り倒し、自家用車で自宅に運ぶことで得られる達成感は、比較にならないほど大きい。

 4人のルームメイトとともに、20分かけてツリーを切り倒したローレン・ウェグマン(Lauren Wegmann)さんは、「これまで以上にクリスマスツリーに愛着がわく」と話す。「最初は、好きな木を選んだら店の人が切り倒してくれるものと思っていたけど、ここに来て初めて、自分たちで切るということがわかった」というウェグマンさんにとって、自らの手で木を切る経験は全く初めてだったという。

■都会ではオーナメント作り

 一方、ニューヨーク(New York)のような都会では、クリスマスリツリーの伐採体験はちょっと難しい。その代わり、吹きガラスのオーナメント作りで「手作りクリスマス」の精神を味わっている人たちがいる。

 マンハッタン(Manhattan)地区のガラスオーナメント作りクラスの受講料は225ドル(約2万300円)。しかし新米ガラス吹きたちは、高価な受講料にもひるまない。

 夫婦で受講したパット・クレメンテ(Pat Clemente)さんは、「柔らかいガラスを自分の創造性を駆使し自らの手でオーナメントに造り上げていく過程は格別なもの」と話す。

 金融危機に見舞われた今年、調査機関ギャラップ(Gallup)の調べによると、米国人がクリスマスプレゼントに費やす費用は前年から200ドル(約1万8000円)減り、1994年以来の最低額となる639ドル(約5万8000円)になると推定されている。(c)AFP/Karin Zeitvogel