【12月21日 AFP】バングラデシュ・ダッカ(Dhaka)の裁判所が、今年8月に帰省した際に両親に監禁され意志に反した結婚を強要されたと訴えていた英国在住のバングラデシュ人の女性医師(32)の主張を認め、この女性を解放するよう両親に命じたことについて、この女性の夫(33)がAFPの電話取材に応じた。

 2002年から英国に暮らしている女性医師フマイラ・アベディン(Humayra Abedin)さんはダッカに帰省した際、両親に監禁され結婚を強制されたと訴えていた。ダッカの裁判所は14日、アベディンさんが4か月以上両親に不当に監禁されていたと認め、アベディンさんにパスポートなどを返し、英国へ出国させるよう両親に命じた。

 アベディンさんは英国でヒンズー教徒の男性と交際していたためイスラム教徒であるアベディンさんの家族が激怒したことが一連のできごとの背景にあるとされる。アベディンさんと家族の法廷での争いは国内外のメディアで報じられた。

■「うそをつかれていた」

 夫である医師のカンダカ・アブ・ジャラル(Khandaker Abu Jalal)さんは、自分は妻とその家族の「裏表のある行動」の犠牲者だと語り、結婚2日後まで妻が結婚を望んでいないことを知らなかったことを明かした。

 2人は11月14日に結婚したが、「結婚前に2人きりで会ったのは彼女の家とレストランの2回だけだった。私は彼女にボーイフレンドがいるか尋ねた。彼女は高学歴で、彼女のような女性にはだいたいボーイフレンドがいる。彼女が私のことを気に入ったという印象を持った。私のことが好きではない女性と結婚することになるとは夢にも思わなかった」

 ジャラルさんは彼女のヒンズー教徒のボーイフレンドのことは、結婚後に初めて彼女の家族から聞かされたという。「彼女と彼女の両親は私にずっとうそをついていた。私と私の家族は社会的な屈辱を受け、私の人生は破壊されてしまった。私は精神的に落ち込んでいるし、母は重い病気になってしまった」と語った。

 また、彼女の両親からアベディンさんは精神的に不安定だと聞かされていたと語った。「結婚式当日の彼女は大丈夫そうだった。簡単な式だったし、招待客も少なかった。一緒に暮らし始める前にもっと大規模な式をすると言われた」

 ジャラルさんは婚姻関係を維持するかどうかはアベディンさん次第だと語った。「私たちはこの不名誉な騒動に巻き込まれるべきではなかった。私は平穏な人生を望んでいるだけなのに」と語った。

■ロンドンでの訴訟は継続中

 アベディンさんは14日にダッカの英高等弁務官事務所に保護され、翌15日にバングラデシュを出国して英国に向かった。

 英国では11月、強制結婚を禁じ、また自分の意志に反して強制的に結婚させられた英国籍保持者を保護する権限を裁判所に与える「Forced Marriage Act(強制結婚法)」が施行された。アベディンさんが英国在住者である点に基いて弁護士らが原告代理人となってロンドン(London)の高等法院に起こした訴訟は続いている。この法律が英国籍以外の人のために使われるのはアベディンさんのケースが初めて。(c)AFP