盗まれた太陽王のダイヤは米国に?研究発表
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【11月19日 AFP】(写真追加)フランス国立自然史博物館(National Museum of Natural History)は18日、米スミソニアン協会(Smithsonian Institution)所蔵の「ホープダイヤモンド(Hope Diamond)」が、かつてルイ14世(Louis XIV)が所有しフランス革命中に略奪された伝説の宝石「フランスの青(Blue Diamond)」である証拠をつかんだと発表した。
調査を主導した鉱物学者フランソワ・ファルジ(Francois Farges)氏は、「ホープダイヤモンド」と「フランスの青」が同一のものであることは「99%間違いない」と語る。
「フランスの青」の原石である115.6カラットの石は、もともとインド・ハイデラバード(Hyderabad)のゴルコンダ(Golconda)王国で採掘された。17世紀半ば、フランスの冒険家ジャン・バティスト・タヴェルニエ(Jean-Baptiste Tavernier)が、ゴルコンダの王からこの石を購入し、ルイ14世に売却した。
ルイ14世はこの石をカットするよう宝石商に命じ、2年後に、太陽をイメージした7面69カラットのダイヤに生まれ変わった。ルイ14世が「太陽王」の異名を持ち、「7」が聖書において神性と霊性を意味していることにちなんだものだった。
1749年、ルイ15世は、自らが所有する贅を尽くした「金羊毛勲章」の中央に、このダイヤをあしらった。
1792年、フランス革命のさなか、ルイ16世は幽閉され、王族の宝石類は革命政権に没収された。宝石はパリのコンコルド広場に面した屋敷に保管されていたが、窃盗団に強奪されてしまった。
以後、このダイヤの消息はぷっつりと途絶えてしまった。
■「フランスの青」のその後
「フランスの青」と見られる宝石が出現したのは、1812年のことだ。ロンドンのダイヤモンド商ダニエル・エリアーソン(Daniel Eliason)がこの年、45.54カラットのブルーダイヤを所有していたことが確認されている。
次に記録が残っている持ち主は、英国の銀行家、ヘンリー・フィリップ・ホープ(Henry Philip Hope)だ。宝石コレクターであるホープのカタログには、この宝石が掲載されているが、その出所に関する記載はない。
ホープの死後、ダイヤはホープの甥が相続したが、のちにこの甥の孫にあたる人物が借金返済のためにダイヤを売却した。
20世紀に入り、ダイヤは何人かの米国人に所有されたのち、1958年にニューヨークのハリー・ウィンストン(Harry Winston)社によりスミソニアン協会に寄贈された。
■2つの石を比較
ファルジ氏のチームは2007年12月、フランス国立自然史博物館のアーカイブに、パリの宝石商が作った「フランスの青」のモデルがあることを突き止めた。
そこでチームは、スミソニアン協会から提供された「ホープダイヤモンド」の測定値をもとに、コンピューター、スキャナー、レーザー光線などを使ってこのモデルと比較したところ、「ホープダイヤモンド」は、「フランスの青」の内側にぴったり入る形であることが分かった。
「フランスの青」については、フランス革命を指揮したジョルジュ・ダントン(Georges Danton)が、オーストリア・プロシア軍を買収するためにこれを手渡し、英国王ジョージ4世の王妃、キャロライン・オブ・ブランズウィック(Caroline of Brunswick)を経て英王室に渡ったとの説があるが、ファルジ氏は「ありえない」と否定している。
■フランスへの返還は?
フランスはダイヤの返還を求めるだろうか。ファルジ氏は「その可能性は低いだろう」と言う。「(スミソニアン)のダイヤは、(「フランスの青」から)さらにカットされたものであるから、2つは別々の石と言うことができる。それに、2つが同じダイヤだと100%の確信を持って言うことはできない。なぜなら、オリジナルのブルーダイヤの成分や化学組成に関する記録は一切残っていないのだから」(c)AFP/Richard Ingham and Marie-Pierre Ferey
調査を主導した鉱物学者フランソワ・ファルジ(Francois Farges)氏は、「ホープダイヤモンド」と「フランスの青」が同一のものであることは「99%間違いない」と語る。
「フランスの青」の原石である115.6カラットの石は、もともとインド・ハイデラバード(Hyderabad)のゴルコンダ(Golconda)王国で採掘された。17世紀半ば、フランスの冒険家ジャン・バティスト・タヴェルニエ(Jean-Baptiste Tavernier)が、ゴルコンダの王からこの石を購入し、ルイ14世に売却した。
ルイ14世はこの石をカットするよう宝石商に命じ、2年後に、太陽をイメージした7面69カラットのダイヤに生まれ変わった。ルイ14世が「太陽王」の異名を持ち、「7」が聖書において神性と霊性を意味していることにちなんだものだった。
1749年、ルイ15世は、自らが所有する贅を尽くした「金羊毛勲章」の中央に、このダイヤをあしらった。
1792年、フランス革命のさなか、ルイ16世は幽閉され、王族の宝石類は革命政権に没収された。宝石はパリのコンコルド広場に面した屋敷に保管されていたが、窃盗団に強奪されてしまった。
以後、このダイヤの消息はぷっつりと途絶えてしまった。
■「フランスの青」のその後
「フランスの青」と見られる宝石が出現したのは、1812年のことだ。ロンドンのダイヤモンド商ダニエル・エリアーソン(Daniel Eliason)がこの年、45.54カラットのブルーダイヤを所有していたことが確認されている。
次に記録が残っている持ち主は、英国の銀行家、ヘンリー・フィリップ・ホープ(Henry Philip Hope)だ。宝石コレクターであるホープのカタログには、この宝石が掲載されているが、その出所に関する記載はない。
ホープの死後、ダイヤはホープの甥が相続したが、のちにこの甥の孫にあたる人物が借金返済のためにダイヤを売却した。
20世紀に入り、ダイヤは何人かの米国人に所有されたのち、1958年にニューヨークのハリー・ウィンストン(Harry Winston)社によりスミソニアン協会に寄贈された。
■2つの石を比較
ファルジ氏のチームは2007年12月、フランス国立自然史博物館のアーカイブに、パリの宝石商が作った「フランスの青」のモデルがあることを突き止めた。
そこでチームは、スミソニアン協会から提供された「ホープダイヤモンド」の測定値をもとに、コンピューター、スキャナー、レーザー光線などを使ってこのモデルと比較したところ、「ホープダイヤモンド」は、「フランスの青」の内側にぴったり入る形であることが分かった。
「フランスの青」については、フランス革命を指揮したジョルジュ・ダントン(Georges Danton)が、オーストリア・プロシア軍を買収するためにこれを手渡し、英国王ジョージ4世の王妃、キャロライン・オブ・ブランズウィック(Caroline of Brunswick)を経て英王室に渡ったとの説があるが、ファルジ氏は「ありえない」と否定している。
■フランスへの返還は?
フランスはダイヤの返還を求めるだろうか。ファルジ氏は「その可能性は低いだろう」と言う。「(スミソニアン)のダイヤは、(「フランスの青」から)さらにカットされたものであるから、2つは別々の石と言うことができる。それに、2つが同じダイヤだと100%の確信を持って言うことはできない。なぜなら、オリジナルのブルーダイヤの成分や化学組成に関する記録は一切残っていないのだから」(c)AFP/Richard Ingham and Marie-Pierre Ferey