【10月11日 AFP】オーストラリアの観光業界団体「観光・運輸フォーラム(Tourism and Transport ForumTTF)によると、同国を訪れる外国人観光客は前年より4.7%減少しているという。同団体のクリストファー・ブラウン(Christopher Brown)経営最高責任者は、「世界的な観光市場の激しい競争の中で、2000年のシドニー(Sydney)五輪以降、オーストラリアは観光地としての基盤を失いつつあるのが現実だ」と話す。
 
 今年に入って行われた、ビキニを着たモデルが「where the bloody hell are you?(あんたは一体どこにいるの?)」と尋ねている観光促進キャンペーンは、多くの国で反発を巻き起こし、英国ではすぐに掲載禁止に。結局このキャンペーンは中止された。

 そこで、オーストラリア政府観光局(Tourism Australia)は、同国への観光客増加を目指し、ハリウッド映画にプロモーション効果の期待を掛けた。

 8日からスタートした新しいキャンペーンは、女優ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、俳優ヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)主演の映画『オーストラリア(Australia)』の公開に乗じたもの。監督はアカデミー賞(Academy Awards)ノミネート経験を持つバズ・ラーマン(Baz Luhrmann)で、3人ともオーストラリア出身だ。

 11月26日に公開される映画『オーストラリア』は、心に染みるロマンティック叙事詩で、キッドマン演じる英国人貴族とジャックマン演じる奥地の牧畜業者が恋に落ちるストーリー。キッドマン演じる女性は自分自身を見失っていたが、オーストラリアに来て冒険とロマンスを体験し、自分を取り戻していく。

 この映画からアイデアを得て制作されたキャンペーン用コマーシャルは、ラーマン自身が手掛けた。90秒と60秒の2つのバージョンがあり、ストレスを抱える都会人がオーストラリアを「気ままに」旅する話が描かれている。

 観光局の広報担当者ニック・ベーカー(Nick Baker)氏は、今回のキャンペーンは映画スタイルを取り入れた、ストーリー性のある、洗練された感動的なものとなっていると期待感を示している。(c)AFP