【9月9日 AFP】世界中のビートルズ(The Beatles)ファンが持っている思い出を収集・分析して、ビートルズが人々に与えた影響を調べる世界初の研究が英リーズ大学(University of Leeds)で3月から行われている。

 世界69か国の17歳から87歳までの約3000人のファンが、この研究のためのウェブサイト「Magical Memory Tour(マジカル・メモリー・ツアー)」に、ビートルズの楽曲、コンサート、映画、そしてバンド・メンバーに関する自分の最も鮮烈な思い出を寄せた。最も多かったのはビートルズが活動した1960-1970年に10代だった人々だという。

 ビートルズのライブが行われたリーズ(Leeds)のコンサート会場でスタッフとして働いていた女性は、ビートルズのマネジャーから、ジョージ・ハリスン(George Harrison)がライブの後に楽屋で会いたいと言っていると伝えられたという。

 この女性は、「全く思いがけない出来事だった。恋人も会場に来ていたし、終バスを逃して母親に叱られるのが怖くて、結局、ジョージには会わなかった」という。しかし、「もし相手がジョン・レノン(John Lennon)だったら、楽屋に行っていたかもしれない」とも明かしている。

 ある英国人男性は、ラジオだけが唯一の娯楽だったという時代の思い出を投稿した。陸軍に所属していた1965年のある日、男性が同僚らとインドネシアのカリマンタン島(Kalimantan、ボルネオ島)の密林地帯を歩いていると、英語を解さない地元の子どもたちが手を繋いで円になって座り「恋する二人(I Should Have Known Better)」を歌っているところに遭遇し、驚いたという。「我々は立ち止まって歌声を聴いていた。歌が終わって拍手をすると、子どもたちは微笑みながら『ビートルズ!』とだけ言った。その時のことを思い出すと今でも心が揺さぶられる」

 調査の結果、時を経てもよく思い起こすビートルズの曲は英国人では「シー・ラヴズ・ユー(She Loves You)」、米国人では「抱きしめたい(I Want to Hold Your Hand)」であることが分かった。

 一方、どこの国の人間であってもビートルズの曲によってわき上がる感情や思い起こされる場面が驚くほど共通していることも分かった。こうした感情の大多数は肯定的なものだが、唯一の例外はレノンの死だ。

 研究者の1人、カトリオナ・モリソン(Catriona Morrison)氏は「ほとんどの思い出が10代初めに集中していることが興味深い」と語る。モリソン氏によれば、音楽の好みが決まるのは14歳ごろまでで、その年代に聴いた音楽は最も強烈な印象を残すのだという。

 ビートルズの曲と思い出に関する研究結果は、ビートルズの生誕地でもあるリバプール(Liverpool)のリバプール大学(University of Liverpool)で行われる英国科学振興協会(British Association for the Advancement of ScienceBA)の催しで発表される。(c)AFP

「Magical Memory Tour」のサイト(英語)