【8月18日 AFP】中国政府は反体制派の取り締まりや交通規制など、北京五輪を意識した様々な対策を行ってきたが、偽ブランド品の露天商は予想以上に手ごわい存在のようだ。

 中国は五輪中の著作権侵害行為の取り締まり強化として偽ブランド品の摘発を行ってきたものの、偽ブランド品は堂々と販売されており、五輪ボランティアの青と白のユニフォームのコピー品を着ている露天商までいるありさまだ。

 北京の秀水街(シルクストリート、Silk Street)でドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)やポロ(Polo)などの偽ブランド品を売っていたある女性は「売り上げは好調。五輪のおかげで客はどんどんやってくる」とほくほく顔だ。この通りの狭い路地には、五輪関係者であることを示す黄色いIDカードを首からぶらさげている人々の姿も目立つ。

 アーチェリーに出場する親せきを応援に来たという28歳のデンマーク人教師は、6年前にもここを訪れたことがある。「以前と変わらない。店員はちょっと丁寧になったかな。でも値段は高くなったね」。この男性は、ドルチェ&ガッバーナの下着セット10組を175元(約2800円)で購入したが、別の店では同じ10組が50元(約800円)で売られていることを知り、悔しがっていた。

■アディダス公式ストアの脇で「偽アディダス」

 露天商によると、五輪前の取り締まりにより、偽ブランド品製造工場の多くが摘発され閉鎖された。特にグッチ(Gucci)、カルバン・クライン(Calvin Klein)など高級ブランドの偽物工場がターゲットにされたという。

 だが五輪中も、北京市内のいたるところで、ポロ、ロンドンフォグ(London Fog)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の偽物が公然と売られている。雅秀服装市場(Yashow Clothing Market)では、女性の売り手が「アディダス?あるある」と言いながら、偽アディダスのトレーナーを引っ張り出してきた。値段は250元(約4000円)。

 この市場の5階建ての建物は、アディダスの公式ストアから200メートルと離れていない。

 以前訪れた海賊版DVDの販売店も健在だった。ただし、路面の1階から6階へと目立ちにくい場所に引っ越し、数か月前と比べると品数も減っていた。「来週にはもっと入荷するから、また来てね」と店員。

 北京の常連客は、こうした状況にも驚いたそぶりを見せない。「もうかる商売だからね。店じまいなんてしないと思っていた」とモンゴル在住のある米国人は語った。(c)AFP