【8月15日 AFP】ほとんどのレストランでペットの同伴が禁止されている米国で、一定の時間だけペットの同伴を許可する「ドギー・ハッピーアワー」が、ここ数年で大きな人気を博している。人気の秘密は、飼い主とペットが触れ合えることに加え、男女の飼い主たちにとっての出会いの場となっている点だ。

 ある金曜日、ドギー・ハッピーアワーの先駆けとなったワシントンD.C.(Washington D.C.)郊外の「ホテル・モナコ(Hotel Monaco)」の中庭には、数十匹の犬と80人近い飼い主が集っていた。そのうちの1人、ビールを片手にしたリックさんは、そばにひかえる2匹のパグ犬のテディとジングルズ同様、実に幸せそうだ。「イヌたちにとって、週に一度のドギー・ハッピーアワーは待ちに待ったお楽しみの時間なんだ。『ドギー・ハッピーアワーに行くぞ』って言うと、そりゃあもう大喜びで玄関に突進するんだから!」

■イヌが社交性身につける利点も

「ホテル・モナコ」の中庭に集うプードル、チャウチャウ、セントバーナードたちは、互いに鼻を寄せ合い、仲良く1つの水飲みボウルの水や犬用オーガニック食品のサンプルを分け合う。一方、飼い主たちもワインを飲みながら互いのイヌをほめ合う。

 こうした集いは、イヌに社交性を身につけさせる上でも有益だという。アメリカンボクサーの飼い主に同行したドッグトレーナーのジョン・ランドリーさんは、「こうした場はイヌの攻撃性の減少に役立つし、飼い主も自分の他にもイヌを溺愛するクレイジーな人間がいると知ることができる」と語る。

 米国ペット製品製造者協会(American Pet Product Manufacturers AssociationAPPMA)によると、全米で飼われているイヌは7500万匹、飼っている世帯数は4500万世帯にのぼる。

 ペット産業の今年度の売上高は推定で4300万ドル(約47億円)だが、これは玩具の年間売上高とほぼ同額、化粧品の年間売上高の2倍にあたるほどだ。

■飼い主同士もラブラブに

 イヌたちだけでなく、人間もドギー・ハッピーアワーの恩恵を思わぬ形で受けている。ペットのイヌたちが友達作りをしている時、飼い主も周りを見回しお相手を探しているのだ。

 ワシントンD.C.の繁華街にある「ヘリックス・ホテル(Helix Hotel)」のハッピーアワーの常連、ジョンさんは「(ハッピーアワーは)気軽に他人と知り合いになれる」と語る。同じホテルのハッピーアワーに、愛犬2匹と共に現れたカーラさんも、「将来のボーイフレンドを見つけられるかって? そうなってほしいわ!」と話した。

 実際、イヌを恋人を見つけるための口実に用いる人々もいるようだ。「ホテル・モナコ」ではある日、若い男性4人がハッピーアワーにやってきたが、連れていたイヌはたった1匹だったという。(c)AFP/Virginie Montet