【8月12日 AFP】米アルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)の研究チームは10日、肝臓細胞内の有害タンパク質の堆積を防ぐことにより、ネズミの肝臓の老化プロセスを停止させることに成功したと発表した。

 タンパク質の堆積による老化現象が、器官内または生きた動物において阻止されたのは今回が初めて。老齢になると肝臓が弱まって死に至る危険が高まるが、今回の発見で、そうした肝臓の治療法が確立されることが期待される。また、長生きの秘訣も導き出されるかもしれない。 

 実験では、生後22-26か月(人間では80歳代にあたる)のネズミの肝臓の遺伝子を組み換えて再生させ、通常のネズミの肝機能と比較した。すると、前者が、4分の1程度若いネズミと同等の血液洗浄作用を示したのに対し、後者の肝機能は年齢とともに衰えた。

 研究を主導したアナ・マリア・クエルボ(Ana Maria Cuervo)氏によると、細胞内の洗浄メカニズムの再生は、1つの器官だけでなく、パーキンソン病やアルツハイマーなどの神経変性障害にも効果的という。こうした病気の多くは動作が異常な、または損傷したタンパク質が神経細胞に堆積することによって引き起こされるため、そうした堆積を防ぐことで、発症を長く抑制することができるのだという。

 さらには、細胞の老廃物を細胞内で処理する能力が身体の各組織で確立されれば、寿命が延びる可能性があるという。研究は、損傷タンパク質を体内から除去できないのは、老齢の身体機能の衰えの「原因」であって「結果」ではないことも示している。

■カロリー制限でも老化を防げる?

 クエルボ氏によると、同様の「細胞内の洗浄」はカロリーを制限することによっても実現できるという。過去10年間の研究では、ほ乳類を含む動物がカロリー摂取量を制限すると、寿命が大幅に延びることがわかっている。

 同氏の目標は、病気を錠剤ではなく食生活の改善で治療することだという。

 研究の詳細は、英医学誌ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)電子版に掲載されている。(c)AFP