【7月29日 AFP】(一部訂正)英スコットランド(Scotland)の城にあった食器棚から、約1世紀前に製造された現存する最古の「ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)」のシャンパンが発見されていたことが明らかになった。城の所有者が28日発表した。

 スコットランド本島の西、マル(Mull)島にあるトローゼイ城(Torosay Castle)で、この城を所有するクリス・ジェームス(Chris James)氏が1893年産のシャンパンを発見した。このシャンパンは、1世紀以上にわたって人目に触れることがなかったと見られている。

 ヴーヴ・クリコ社は現在、フランス東部シャンパーニュ地方の主要都市ランス(Reims)にある同社の展示施設でこのボトルを展示している。

■19世紀の城、4つの扉を持つ食器棚の中に・・・

 トローゼイ城はグラスゴー(Glasgow)の富豪によって1858年に築かれ、1865年に金融業を営むArbuthnot Guthrie氏の手に渡った。1897年に死去したGuthrie氏は、城の所有権は甥(おい)に、城の中の物はすべて妻に遺した。

 Guthrie氏の妻は城を去る際、城の中のすべての物を持ち出したが、食器棚だけは重すぎて運べなかった。食器棚には4つの扉があり、うち3つの扉の奥にはナイフやフォークなどが収納されていたが、4つ目の扉はずっと鍵がかかったままだった。

■状態は素晴らしく良好

 好奇心に駆られたジェームズ氏は、錠前師を呼んで頑丈な木製の扉を開けることにした。開いた戸棚からは、仏産の赤ワイン(クラレット)のビンや、ポート(ワイン)のデカンター、ブランデーのボトル、そしてあの黄色いラベルを付けたヴーヴ・クリコが見つかった。

 暗い場所に保管されていたため、シャンパンの状態は素晴らしく良好だった。

 ヴーヴ・クリコ社は、トレードマークの黄色いラベルを使い始めた時期は分からないが、発見された「トローゼイ・ボトル」は抜きんでて古く、最古の物であるとした。

 扉が開いたとき、何が出てくるか全くわからなかったというジェームズ氏は、「トローゼイ城の150年の歴史にとても重要な意味があることが分かり、あのボトルが本来あるべき所に戻って展示されたことを私は心からうれしく思っている」と語った。

 ヴーヴ・クリコの広報責任者、Fabienne Huttaux氏は英国放送協会(BBC)に対し、展示施設にボトルを展示できることを「非常に誇りに思う」と述べた。「このボトルには値段が付けられないほどの価値があります。1本限りの本当に特別なボトルなのです」(c)AFP