【6月26日 AFP】米国の先住民族が、1800年代までかつて暮らしていた土地から得られたはずの利益を受け取っていないとして米政府に460億ドル(約5兆円)の賠償を求めている裁判で、地方裁判所のジェームズ・ロバートソン(James Robertson)判事は25日、これほど多額の賠償金を命じるのは難しいとの見解を示した。

 この裁判は12年に渡って争われているが、両当事者による最終弁論が終了したことを受け、同判事は争点となっているのは「9けた、10けた(億単位、10億単位)」の賠償額がふさわしいのかどうかということであり、原告弁護士の主張通り数百億ドルに渡る支払いを命じるのは難しいとの考えを述べた。

 原告側弁護士は、内務省(Department of Interior)は1887年以来、信託地となっている土地から産出された原油、木材、鉱物資源の対価や放牧地使用料の支払いを先住民に対し行ってこなかったとして賠償を請求している。

 ロバートソン判事は、対価の徴収と支払いについて「120年という期間を対象にする賠償の根拠となる確かなデータがほとんどない」とし、公正な賠償額を算出するための信用に足る数字が無いため、判断が難しいと話した。

 同判事は、8月には判決を下すと述べる一方、原告・被告両者に対し賠償額の算出方法についてより具体的な提案を出すよう求めた。(c)AFP/by Dan De Luce