【6月24日 AFP】(一部更新)インターネット競売サイトにオーストラリア在住の男性が出品した「自分の人生」に一時、220万豪ドル(約2億2500万円)の高値がついたが、男性は24日、競売が成立していなかったことに気付き、さらに参加者全員に入札を取り消された。

 男性は英国出身でオーストラリアのパース(Perth)に住む元カーペット販売業者のイアン・アッシャー(Ian Usher)さん(44)。人生をやり直したいと考え、寝室3部屋付きのパースの自宅やセールスの仕事などを含む現在の生活を「人生」パッケージにして、インターネット競売大手イーベイ(eBay)に7日間の入札期限で出品した。

 入札価格は出品直後からうなぎ上りを見せ、アッシャーさんは22日夜、65万豪ドル(約6600万円)に達した時点で、シャンパンを取り出し祝杯をあげた。

 23日の朝、アッシャーさんが起きたころには、入札価格は190万豪ドル(約1億9500万円)に跳ね上がっており、さらにパソコンの前に座っている間に220万豪ドル(約2億2500万円)に達した。

 しかし、当初は高笑いしていたアッシャーさんは、いきなり現実に引き戻された。イーベイの競売サイト上の入札登録システムがアクティブになっていなかったことに気付いたのだ。

 アッシャーさんは急きょ、入札していた人たちに電話をかけまくり、入札が本気かどうかを聞きまくるはめになった。アッシャーさんによると、最高値を付けていた人物は「パスワードを盗んだ家族が勝手に入札した」など、数々の「言い訳」を並べ、最終的には全員に入札を取り消されたという。 

 アッシャーさんはAFPの取材に対し、「みんな、困ったやつばかりだ。これまで相手にしていたのは、子どもみたいなやつばかりだったということだ」と答えた。

■入札やり直し

 アッシャーさんは「本気」の入札だったと思われるものも含め、これまでの入札を大幅に消去した。現在、「人生」の最高値は30万100豪ドル(約3100万円)となっている。この価格についてアッシャーさんは、42万豪ドル(約4300万円)相当の「家の評価額の75%にも満たない」と不満そうだ。

 今回の「異例の競売」のきっかけとなったのは、2年以上前の妻のローラさんとの離婚。2人で過ごした幸せな数年を思い出させる所有物を一切引き払いたいと感じ、ネット競売を思いついた。

 競売の落札者には、家や財産のほかに、アッシャーさんの友人も紹介される。また、じゅうたん販売業の2週間の試用期間も約束されており、その後は販売店オーナーとの契約次第で永久雇用される可能性もあるという。
 
 落札後、アッシャーさんには旅券、財布、カバンに詰めた衣類だけが残る。

 屋内スパから家庭用娯楽システム、さらに台所用品まで、出品内容は合計で45万豪ドル(約4600万円)から50万豪ドル(約5100万円)相当だという。アッシャーさんは「心配することはない。成り行きに任せるさ」と述べた。(c)AFP