【6月11日 AFP】あるイラン国営企業がこのたび、独身の従業員らに対し、9月までに結婚しなければ解雇すると通告した。保守系日刊紙ケイハン(Kayhan)が10日、報じた。

 別のイラン紙エテマド(Etemad)によれば、この会社は南部湾岸のガス・石油化学工業地区アサルイエ(Assalouyeh)のパルス特別経済・エネルギー区(Pars Special Economic Energy Zone)にある。同紙が引用した会社命令は、「残念なことに一部の従業員は責務を果たさず、いまだに独身でいる」と指摘。「結婚は従業員の基準の1つだ。わが社は男女すべての従業員に対し、9月21日までに道徳的・宗教的な義務を果たすよう最後通告する」としている。

 アサルイエは、真夏には気温が摂氏50度に達することもあり、家族で生活するには不向きな場所だ。従業員の大半は、高い賃金を求める若い男性たちで、親元を離れて暮らしている。今回の会社命令は、こうした男性たちを結婚させることで性的な衝動を抑制しようとの狙いがあるとみられる。

 イランの法律は、配偶者以外の異性との性交渉を禁止している。20代で両親のすすめに従って結婚し、結婚後すぐに子供をもうけるのが、一般的なイラン人の人生だ。

 だが近年、厳しい経済情勢にともなって、若者たちが新居の購入どころか結婚式の資金さえまかなえない傾向にあり、成婚数は低迷している。15-29歳の未婚人口1200万人に対し、2007年の成婚数は84万件に過ぎなかったとの統計もある。

 こうした状況に、北東部ホラサン(Khorasan)州では、州政府が市長や公務員を既婚者に限るとする見解を示している。(c)AFP