【6月4日 AFP】米カリフォルニア州オークランド(Oakland)には、マリファナ(大麻)の栽培から収穫、料理の仕方、そして販売の仕方について教える私立大学がある。

 オークスターダム大学(Oaksterdam University)で教えられているこの授業は、消費者にマリファナの長所を知ってもらい、修了生がカリフォルニア州内に(マリファナを売る)薬局を構えることを目標にしているという。だが、州法はマリファナの所持を禁止している。

 同大は前年11月に開校し、最近になってロサンゼルス(Los Angeles)キャンパスで授業が開始された。授業は、オランダのアムステルダム(Amsterdam)の大学で教えられている内容を参考にしている。

■警察の職務質問への対応も学ぶ

 ある日、オークランドの繁華街にある薬局を改装した建物に、学生たちが集まってきた。「マリファナの政治学と園芸学」の授業がこれから始まるのだ。

 ポニーテールの若者、タトゥーを入れた若者たちが、白髪交じりの女性たちに混じり、ドラッグの歴史に関する講義を聞きながらノートをとる。

 次に学生たちは、警官にとめられた際にどのように対応するかのロールプレイを行い、続いて、pHバランス、マリファナの乾燥、マリファナを使った治療、マリファナのにおいをどうやって消すかを学ぶ。

 週末2日間の集中講義が終わると試験が行われ、これにパスすると修了証がもらえる。これがあると、マリファナを販売する薬局への就職が有利になるそうだ。 

 同大の卒業生はこれまでに200人、在校生は500人以上にのぼるという。

■マリファナは医療面で大活躍

 在校生の1人、56歳のクリスティーさんは、フリーランスのウェブプロデューサーだ。マリファナに関する法令について知識を深めたいと思い、入学した。法令は実際、ころころ変わっている。麻薬取締局(Drug Enforcement AdministrationDEA)は前年末、マリファナを扱う薬局に対し閉店通告を出した。これに従わない場合は罰金刑に処するという内容だった。

 クリスティーさんは、数年前にうつ病と診断されて以来、抗うつ剤プロザック(Prozac)を服用している。だが、躁(そう)になったり吐き気がしたりと副作用がひどく、見かねた息子がマリファナをすすめた。すると、すっかり気分が良くなったという。

 クリスティーさんはそれ以来、抗うつ剤の服用をやめた。おかげで良く眠れるようになるなど、生活が格段に向上したという。

 オークスターダム大学側は、マリファナはがん、多発性硬化症、エイズなどの消耗性疾患の痛みを軽減する効果があると主張する。また、マリファナを合法化するとマリファナの多岐にわたる使用が可能になり、カリフォルニア州の税収入も大幅に増えると言う。

 同州は1996年、医療用マリファナの使用を認める法律を制定。この法律は近年、医療目的でのマリファナの栽培、供給および販売にまで拡大されている。

 その一方で、DEAはマリファナを扱う薬局の差し押さえを継続し、2006年にはサンディエゴ(San Diego)郡が同州に対し、医療用マリファナの使用を認める法律を撤回するよう求める裁判を起こした。

 そんなDEAが、オークスターダム大学を歓迎するはずはない。「国を挙げてドラッグ撲滅運動に取り組む中、大学は誤ったメッセージを送り、犯罪をも助長している」とDEAはコメントしている。
 
 現在、医療用マリファナの使用を法律で認めている州は全米で12ある。(c)AFP/Karina Ioffee