【4月24日 AFP】英ロンドン(London)の首相官邸では23日、イングランド旗である白地に赤十字、「聖ジョージ(Saint George)」の旗がはためいていた。

 長らく気に留められずにいる国民の記念日「聖ジョージの日(Saint George's day)」にもっと誇りを持ってもらおうとの取り組みだったが、あまり功を奏さなかったようだ。

■イングランド人でさえ「聖ジョージの日はいつ?」

 アイルランドの祝日「聖パトリックの日(Saint Patrick's Day)」が全世界でアイルランド人、アイルランド系移民、さらにはこの日にあやかろうとする誰にでも祝われることに比べ、聖ジョージの日は当のイングランドでさえも、それほどの関心を集めてはいない。

 大半のイングランド人はこの日がいつかを言い当てられないようで、むしろフランス革命記念日(7月14日)や米国独立記念日(7月4日)を知っている人の方が多いようだ。また、聖ジョージの日が休日でないことも、関心を持たれない理由のひとつとなっている。

 保守系の「デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)」紙に同日掲載された世論調査会社YouGovによるアンケートでは、回答した2032人中、65%が「聖ジョージの日を国民の休日とすべき」と考えている。一方、64%の人が「イングランド人が聖ジョージの日を祝えないのは、照れがあるからだ」と答え、同程度の割合の人が「今年特にこの日を祝うことはしない」と答えた。

 また「イングランドとゆかりが深いと思うもの」を4つ挙げた問いでは、「君主制」61%、「フィッシュアンドチップス」58%、「ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)」50%、「ローストビーフ」43%の人がそれぞれ「ゆかりが深い」と答えた。

 大衆紙「デーリー・スター(Daily Star)」は、イングランド人の「控え目な愛国心」は、「政治的公正が粗末にされ、税金を払っている、平凡な労働者階級のイングランド人が踏みにじられてきた結果」だと指摘した。

■「イングランドざんまい」で必死のPRも

 何の催しも行われない「聖ジョージの日」を変えようとする試みもある。

 各地のイングランド特産ビールの醸造所ではこの日、パーティー的な雰囲気で盛り上げようとの苦心がみられた。ロンドンの国会議事堂前では「人種差別主義者からの愛国心の奪還」を掲げる左派グループが、聖ジョージとドラゴンに扮(ふん)してアピールした。トラファルガー広場(Trafalgar Square)でも、コーンウォール(Cornwall)のカキや甲殻類、ウェストモーランド(Westmorland)の野生のブタのほか、チェルシー(Chelsea)・バンズ、エクルズ(Eccles)・ケーキなどイングランド各地の名物を売る露店が軒を連ね、パブではビールの飲み放題なども行われた。

 その時だけは「来年は聖ジョージの日をもっと盛大に祝おう」と思った人もたくさんいたかもしれない・・・しかし、またすぐに忘れられてしまうのだろう。(c)AFP/Robin Millard