【4月11日 AFP】ナチス(Nazis)によるユダヤ人大量虐殺「ホロコースト(Holocaust)」で行われたユダヤ人の子どもたちの強制移送に関する移動展示「Zug der Erinnerung(記憶の列車)」が、ベルリン中央駅での停車を拒否された。10日、主催団体が明らかにした。

 独国営ドイツ鉄道(Deutsche BahnDB)は、停車拒否の理由について、移動展示会場となっている蒸気機関車が駅に停車すると鉄道の運行に支障が出るためとしている。この説明に対し主催団体は、「大規模な強制移送が行われた場所で、技術的な問題が展示内容より優先された」との声明を発表した。

 この移動展示は、1942-44年にナチスによってフランスからポーランドのアウシュビッツ(Auschwitz)に強制移送された1万1400人のユダヤ人の子どもたちの苦境を、客車内で展示しながらアウシュビッツまで行くというもの。1月にベルリンで始まり、これまでにドイツ国内8駅に停車した。

 強制移送中、子どもたちはしばしば家畜運搬車に詰めこまれた。ナチス・ドイツはDBの前身であるライヒスバーン(Reichsbahn)に、子ども1人あたり25帝国マルク(約25ユーロ、約4000円)の輸送費を支払っていた。

 DBは展示計画が明らかになった当初、ホロコーストの展示は足早に通り過ぎる通勤者が横目で見る以上の価値を持つもので、会場として駅はふさわしくないとして、国内の駅構内での展示を全面的に拒否。強い批判を浴びて、方針を転換している。(c)AFP