【4月10日 AFP】(一部更新、写真追加)チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世は10日、訪米する途中、乗り継ぎのために立ち寄った成田空港で記者会見を開き、北京五輪を支持する態度をあらためて表明した。また、自らに向かって「悪の根源」と呼ぶ中国政府に対し、そうした決めつけを止めるよう呼び掛けた。

 チベット暴動と中国政府による弾圧後、ダライ・ラマは初の外国訪問として亡命先のインドから米国へ向かう途中、成田で会見した。

 会見では、中国の五輪開催にあらためて支持を表明。「中国の五輪開催を支持する。中国は世界で最も人口が多く、最も歴史の古い国だ。中国は真に開催国に値する」とし、「チベットの不幸な出来事はあるが、私の立場は変わっていない」と繰り返した。

■北京五輪にも、チベットの怒りにも尊重を

 英ロンドン(London)や仏パリ(Paris)では、五輪の聖火リレーに対する抗議行動がエスカレートしたが、その後聖火が向かったサンフランシスコ(San Francisco)のチベット・コミュニティに対し、ダライ・ラマは「リレーを尊重し、いかなる暴力的な行動も起こさないでほしいとメッセージを送った」と語った。

 聖火リレーへの尊重を求める一方、ダライ・ラマは中国政府に対するチベット自治区の抗議運動についても尊重と擁護を求め、「もちろん、チベット族が自分たちの気持ちを表現することは、彼ら次第だ。誰にも『黙れ』というような権利はない。チベット内の問題の根源のひとつは、あの場所に言論の自由がないことだ。今回の危機は彼らの深い怒りの表出だ」と述べた。

 自らに対する中国政府の態度については、「わたしを悪魔のように呼ぶことには心が痛む。しかし、それでもよい。わたしはただの人間だ。悪魔ではないと願っている」と述べた。また「われわれの立場が反中国だと受け取る人々もいるが、わたしは世界中の、特に中国本土の兄弟姉妹たちに訴えたい。われわれは反中主義ではないと」と語った。

 また、ダライ・ラマは空港近くのホテルで安倍晋三(Shinzo Abe)前首相の昭恵(Akie Abe)夫人と面会した後、米シアトル(Seattle)へ向かった。米国滞在中は講演活動などを行う。(c)AFP/Harumi Ozawa