【4月8日 AFP】テレビ番組「クロコダイル・ハンター(Crocodile Hunter)」で有名な環境保護活動家、故スティーブ・アーウィン(Steve Irwin)さんの父が7日、オーストラリア放送協会(Australian Broadcasting CorporationABC)のインタビューに応じ、スティーブさんのおかげで自殺を思いとどまったことがあると明らかにした。

 父親のボブ・アーウィン(Bob Irwin)さんは今年3月、36年前に自身が創設したオーストラリア動物園(Australia Zoo)の職務から退いた。息子スティーブさんが数百万ドル規模のビジネスに育てあげた同動物園の経営は、現在はスティーブさんの妻が継いでいる。

 離職後初めて公の場で発言したボブさんは、2000年に最初の妻が交通事故で亡くなった後、自殺を考えたことを明かした。

 しかし携帯電話を持っていたことが彼を救ったという。ボブさんが、しばしば妻と息子を連れて行った場所へと車を走らせている時に、電話をかけてきたのは息子のスティーブさんだった。

「彼は、『これから父さんが何しようとしてるかわかってるよ』と言った。私は言葉に詰まってしまった。すると息子は『じゃあ僕も一緒に行くからそこで待ってて。どうせなら2人でやろう』と言ったんだ」

「それで私は、彼には(娘の)ビンディがいたので『おまえは駄目だ』と答えた。すると息子は『でももし父さんがやるつもりなら、僕も続くよ』と言った。その瞬間、私はとてもそんなことをさせるわけにはいかないと思ったし、彼ももちろん私がそう考えるとわかっていた。私たちはとても仲が良かったので、お互い何を考えているのか分かり合っていた」

 妻の死後、2番目の妻ジュディ(Judy)さんの協力もありボブさんは立ち直った。そして、オーストラリア動物園にはもはや居場所がないと考え園を離れたボブさんは、今後はクイーンズランド州の別の地域での保護活動を続けるという。

 ボブさんのインタビューは、公園の拡大計画や、9歳になるビンディちゃんのテレビ出演などをめぐって、故スティーブさんの妻テリー・アーウィン(Terri Irwin)さんとの不仲説がささやかれるなか、メディアの注目を集めていた。

 ボブさんは経営してきたオーストラリア動物園を去ることについて、「半生の間に何かを建てて、そこから離れるっていうのは変な気分だよ。私は邪魔な存在になってしまっていた。そうなるつもりではなかったけれどもね」と語り、さらに、「私がオーストラリア動物園を退くことによって、私と妻、そして友人とともに、スティーブのやり残したことを引き継ぐことができるだろう」と付け加えた。

 ボブさんはテリーさんとの関係については詳細を話さなかった。「なぜ私の家族の生活、私の個人的な問題などが公に報道されなければならないのかわからない。このことをメディアと話し合ってもどうしようもない」

 動物園をディズニーランドのような観光名所に拡大し、350室を誇るホテルやアフリカサファリパークも新設するテリーさんは、夫の父との不仲説を繰り返し否定している。

 テリーさんは3月に行われた会見で、「ボブは妻と一人息子を失って深い悲しみに暮れている。そっとしておいてあげたい」とコメントした。

 スティーブ・アーウィンさんは生前「クロコダイル・ハンター」として大人気だったが、父のボブさんは、テレビカメラの前にいるよりも、危険な動物を捕まえることの方が好きだという。「ここで座ってカメラの前でしゃべるより、クロコダイルを捕まえたいよ」(c)AFP