【3月26日 AFP】世界最高峰エベレスト(Mount Everest)の今夏の登山が難しくなりそうだと登山家らが懸念している。北側に位置する中国側からは五輪やチベット(Tibet)自治区の暴動の影響で入国できず、ネパール側の入山も規制されそうだからだ。

 中国は北京五輪の聖火のエベレスト山頂行きを計画しているが、チベット暴動の余波が続く中、国際的に体面を失う抗議行動の発生を避けたい。聖火ルートとなる予定の北側からの登頂ルートを選択する大規模な登山隊は今年、中国政府の許可を得られずキャンセルされている。さらにチベット暴動に収束がみられない中、中国政府は当面、チベット経由の外国人の入山を禁じたところだ。

 一方、ヒマラヤ(Himalayan)登山の中心地、エベレスト南側にあるネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)当局は、入山は許可しているものの、中国側に配慮した規制を行っており、ネパール側から向かう登山者にも聖火が通る予定の5月1-10日の期間、山頂付近全体に近づくことを禁じている。
 
 しかし、エベレスト登山のベストシーズンは5月で、しかも天候条件が登頂に適した期間は2週間かそれ以下と短い。

 ひとり当たり数百万ドルを支払い、エベレスト登山に関する情報を待つ顧客55人を抱える登山オーガナイザー、Poudelさんは「政府の上のほうで会議し、エベレストについても決めているのだろうが、そんな会議がいつあるのかなど誰も知らない」と嘆く。(c)AFP/Sam Taylor