【3月17日 AFP】米国が建国された数百年前、開拓地で暮らす人々の生活に銃は欠かせないものであったが、現在でも銃の保有は米国のアイデンティティーを形成する重要な一部となっている。

 米最高裁判所で今週、過去に米憲法修正第2条で制定された銃を所有する権利を、現代社会がどう解釈するかについて、激しく議論された。

 学校や大学での恐ろしい乱射事件など、近年の銃犯罪を受け、銃に対する善悪の判断が求められている。だが、23歳の韓国籍の犯人を含め32人が死亡し、史上最悪の銃乱射事件となった、バージニア工科大学(Virginia Tech University)での事件のような大量殺人が起きても、銃の所有権に反対する動きが広がることはなかった。

 それどころか、地元紙は逆に、教室内に学生や教授が銃を持ち込むことが許されていれば、乱射事件を防げたのではないかという見方に焦点を当てた。

■対抗手段として保有

 カリフォルニア州立大学(California State University)の刑事裁判が専門のWilliam Vizzard教授は、米国の銃への愛着は「米国の歴史と地理的要因からきており、主権を有する政府という意識がなく、分散された上、人口の少なかった開拓時代の文化が影響している」と指摘する。

 リベラルな米国人でさえ銃の廃止を訴えない理由は、「とても自立的であった開拓時代の政治・文化的傾向の名残から」だと同教授は語っている。

 植民地時代に初めて人々が現代の米国に到着した際、すべての人やグループには、強い者が生き残るという考えから、先住民と戦うという強い心理が働いた。また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los AngelesUCLA)のEugene Volokh教授は、米国が英国からの独立を果たすと、国民が銃などで武装していることが、独裁政治や君主政治に立ち向かう最善の手段だと考えたのではないかとみている。(c)AFP/Fanny Carrier