【3月13日 AFP】ドイツといえば、メルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)やBMWなどの高級車が高速道路を行き交う豊かな国というイメージがあるが、現在のドイツは100万人以上が生活保護に頼って暮らしているのが実態だ。

 現在、ドイツの失業者数は人口の8.6%を占める360万人にのぼり、失業問題は重要な政策課題の1つとして政治の場でもしばしば取り上げられてきた。一方で、時給わずか3ユーロ(約470円)の美容師や月給(税込み)わずか748ユーロ(約11万7000円)の警備員など、低賃金労働を強いられてきた「ワーキングプア」の問題は長いこと見捨てられたままだった。

 連邦政府の雇用当局によると、生活保護を受ける被雇用者数は2005年は88万人だったが、現在は120万人に増加。その半数は正規雇用者だという。

 こうした事態をうけ、ドイツでは最近になって最低賃金制度の導入の是非についての国民的な議論が巻き起こりつつある。大衆紙「ビルト(Bild)」は、清掃員、店員、ホテルの客室係などの賃金はあまりにも低すぎ「極貧賃金」だとの主張を展開している。

 ドイツ経済研究所(DIW)が今週発表した調査結果によると、ドイツの平均年収1万6000ユーロ(約250万円)の70%未満の年収で生活する貧困層人口は現在、全国民の25%以上に達したという。2000年の貧困層は、労働人口の18.9%にすぎなかった。

 経済協力開発機構(OECD)の調査によると、1995-2005年の間に貧富の差の拡大がみられたのは、欧州ではドイツの他にはポーランドとハンガリーの2か国だけだという。(c)AFP/Arnaud Bouvier