【3月5日 AFP】南アフリカの数百人の女性たちが4日、ミニスカートをはいた女性へのセクシュアルハラスメントの根絶を訴え、ヨハネスブルク(Johannesburg)の中心街をデモ行進した。

 ヨハネスブルクでは先月、Noord Streetのタクシー乗り場で、若い女性がタクシードライバーらに衣服をひきちぎられ、ビールを頭から浴びせられた上に胸や陰部を触られるという事件が発生した。「肌を露出しすぎていたために」そそられたというのが男たちの言い分だ。

 デモはこの事件現場付近で行われ、ミニスカートをはいた女性たちが「わたしたちはミニスカートを愛している」「わたしたちは道路標識なんかじゃない。わたしたちを尊重してください」などと書かれたプラカードを持って行進した。

 26歳の女性は、セクハラを頻繁に受けてきたと語る。「男たちがむらがっている道ばたの露天商の前を横切る時、少なくとも3人に1人は胸やお尻をさわってくるでしょうね。だからわたしはミニスカートをはかない。セクシーな着こなしをしないのは防御のためでもあるの」

 事件後、似たような被害に遭った女性が何人もいることが判明。タクシー協会は事件を非難する声明を出したが、20代前半のあるタクシードライバーは次のように語る。「ミニスカートをはいた女は、どうぞレイプしてくださいと言っているようなもの。長いスカートをはいた女は自分自身をリスペクトするようになる。俺たちは自分自身をリスペクトできるような女をリスペクトするのさ」

 デモ行進を笑いをこらえながら眺めている29歳の男性。「やつらは裸なんだもの。笑っちゃうね。女が裸とくりゃあ、感情を抑えるのは難しい。だから男はレイプしちゃうのさ」

 13歳のときにタクシーで性的被害を受けたという人気ラジオパーソナリティーのRedi Direkoさんは、そうした意見を軽蔑する。赤ちゃんもおばあさんもレイプされる時代になったと嘆くDirekoさん。タクシーで胸やお尻を触られるのはこの国の女性にとってごく当たり前の出来事になっていると言う。

「家父長制が色濃く残っており、男らしさの表現はしばしば暴力的になる。そして女性には話し合いの権利は持たされていないのです」(Direkoさん)

 凶悪犯罪件数が世界でもトップクラスの南アフリカ。レイプ被害は毎年約5万件にのぼるが、実際は100万件にものぼるという指摘もある。(c)AFP