【2月28日 AFP】北朝鮮の平壌(Pyongyang)で歴史的な初公演を前日終えたばかりの米名門交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック(New York Philharmonic)の楽団員らは28日、北朝鮮の「天才」少年少女たちによる演奏や踊りを鑑賞した。

 楽団員らが訪れたのは「北朝鮮建国の祖」、故・金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)主席の生家があることで知られる平壌郊外の万景台(Mangyongdae )にある学生少年宮殿(Mangyongdae Schoolchildren's Palace)。ここでは、国内各地から選抜された優秀な子どもたちが北朝鮮のプロパガンダ要員となるべく、芸術、スポーツ分野などでの英才教育を受けている。

■「学生少年宮殿」、5000人以上が技能磨く

 楽団員らに手渡されたパンフレットによれば、学生少年宮殿内の120室では、毎日5000人以上の少年少女たちが得意技能を磨き練習に励んでいるという。複数の分野を受講することも可能で、すべて無料だという。

 楽団員が訪れた際には、7歳の子どもたちのグループが、故・金日成主席と金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記親子を賛美する集団舞踏を練習していた。

 またある部屋では、グランドピアノの前に座った幼い男の子が、目もくらむような速さで鍵盤に指を走らせピアノコンチェルトを弾きこなしてみせた。

 次に楽団員らが通された大ホールでは、白シャツに青ズボン、赤いネクタイ姿の少年少女たちが朝鮮語と英語で団員を出迎えた。一人の少年は「偉大なる父上、金正日将軍様がわれわれに注いでくださる愛情のおかげで、こうして才能を磨き幸福を表現できることを誇りに思います」とあいさつした。

 その後、少年少女らによって北朝鮮の歌曲や米国の歌など10演目が披露されたが、その間、バックスクリーンには度々、金正日総書記の肖像画が映し出された。

 一流楽団のニューヨーク・フィルのメンバーらにとっても、8歳の少女のフルート演奏など万景台学生少年宮殿の子どもたちの演奏レベルの高さには目を見張らされたようだ。

 しかし、一方では幼い子どもたちがこれほど高レベルの演奏技術を習得するためには、過酷な練習が課されているのではとの懸念も持ち上がっている。(c)AFP/Frank Zeller